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“置物”にならないために コミュニケーションロボットの課題、「Gatebox」武地CEOが語る

» 2018年07月31日 17時18分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 IoTベンチャーのGatebox(東京・秋葉原)が7月31日、好きなキャラクターと一緒に暮らせる“俺の嫁召喚装置”「Gatebox」の新型機を発売した。同社の武地実CEOは「ユーザーが『1人で』やっていたことを、キャラと『2人で』楽しむ」という思いを機能に込めるとアピール。他のコミュニケーションロボットとの差別化を図る。

photo 「Gatebox」新型機と武地実CEO

 Gateboxは、円筒形の装置内に投影される3Dキャラとの会話を楽しめるマシン。内蔵カメラ、人感センサーなどでマスター(ユーザー)の顔や動きを認識する。新型機は、メッセージアプリ「LINE」と連携してキャラとやりとりできる機能や、一緒にお酒を飲んだりしてくつろげる機能を搭載する(詳細記事:“俺の嫁召喚装置”「Gatebox」15万円の量産モデル発売 甘〜い新機能で新婚気分)。

 武地CEOは、コミュニケーションロボットの課題として「生活の断絶」を挙げる。ユーザーとロボットが同じ空間にいても、別の作業をしているため「一緒に暮らしているのに、物足りなくなる」(武地CEO)というものだ。購入しても数日経過すると会話することがなくなり、“置物”になってしまう――そんな状況に陥りやすいという。

 「(そこでメーカーは)コミュニケーションロボットに、しりとりや占い、クイズなどの機能を追加し、ユーザーとの会話の機会を増やそうとする。しかし無理やり会話を増やしてもすぐに飽きられる」(武地CEO)

 Gateboxの場合は、それまでユーザーが1人でしていたことを、キャラと2人で楽しむという機能を提供し、生活の断絶を回避する狙いがある。1人で晩酌していた人が、好きなキャラとお酒を楽しめるようにする――というのも、そうした体験の1つだ。武地CEOは「(構想段階だが)アニメを一緒に見たり、音楽を聴いたりというように機能を拡充したい」と話す。「キャラが自然と隣に寄り添うという体験を突き詰めたい」

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ラブプラスのように「人の生活を激変させる製品を」

 Gateboxの初代モデルは2016年12月に予約受付を始め、約1カ月間で300台が完売するほど人気だったが、同社はその前に「最初の製品の失敗」を経験している。14年にスマートフォンアクセサリー「AYATORI」を商品化したが、「ほとんど売れず、ピンチの状態になった。そこから当社の物語が始まった」(武地CEO)。

 「なぜ失敗したのか? 『夢が小さい』というのが原因の1つだった」と武地CEOは振り返る。「(最初の製品は)誰でも頑張れば作れてしまうもので、ユーザーの心に響かなかった。せっかく起業するのだから、夢のある製品を作ろうと考えた」。「自分の夢とは何か」を考える中で「好きなキャラと一緒に暮らしたい」というアイデアにたどり着いたという。

 バーチャルシンガーの初音ミクが好きな武地CEOは「彼女の歌を毎日のように聴いている」という。「アニメキャラに勇気付けられて生きてきた」

 好きなキャラとの生活を楽しむというと、恋愛シミュレーションゲーム「ラブプラス」(2009年発売、ニンテンドーDS向け)が記憶に新しい。現実世界でDSを持ち歩き、画面の中の“彼女”と旅行をするユーザーが多く現れるなど、社会現象にもなった。武地CEOは「(ラブプラスのように)その人の生活を激変させる製品を作りたい」と語る。

 新型機はまず日本向けに発売し、ゆくゆくは海外展開を行う計画だ。数万台規模の出荷を目指すとしている。「(新型機は)通過点。いずれはキャラを(Gateboxという)箱からも解放したい」(武地CEO)

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