シャープが八尾事業所(大阪府八尾市)での冷蔵庫生産を2019年9月までに終了し、白物家電の国内生産から撤退する。戴正呉社長が全社員に向けたメールの中で明らかにした。また17年12月末までに栃木事業所(栃木県矢板市)のテレビ生産も終了する。
八尾事業所は1960年から約60年にわたって冷蔵庫を生産してきたが、冷蔵庫工場が耐震問題を抱えていることに加え、「冷蔵庫事業の存続にはコスト競争力の強化が必要」(戴社長)と判断。今後、冷蔵庫の製造はタイの生産会社SATLなどに切り替える。
戴社長は、「約2年前から慎重に検討を重ね、今回の苦渋の決断に至った」と全社員に報告すると同時に、「日本市場のみならず、グローバル市場でシェアを引き上げ、冷蔵事業のさらなる拡大を目指す」としている。
栃木事業所は1968年、高度成長に伴うカラーテレビ需要の急増を受けて操業を開始。半世紀近くに渡ってテレビを生産してきたが、今後は物流やサービスの拠点とする。テレビ事業に携わる社員は、大阪府堺市や千葉県幕張の事業所に移り、「より効率的かつスピーディーな事業運営ができる体制の構築を進める」という。これにより、シャープの国内テレビ工場は三重県の亀山工場のみとなる。
16年に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入ったシャープは経営を立て直し、同年第4四半期以降は6四半期連続で売上が前年同期を上回るなど好調に推移している。17年12月には東証1部に復帰した。
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