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ブロックチェーンで起業はこれから? 「いや……」 Gunosy創業者の分析は

» 2018年08月09日 12時31分 公開
[井上輝一ITmedia]

 「ブロックチェーン事業での起業は今がラストチャンスだと思っている」――情報アプリを運営するGunosyと、ICOコンサルティング事業などを手掛けるAnyPayが共同出資して8月1日に設立した合弁会社LayerX。6日に開催したエンジニア採用イベントで、LayerXの福島良典社長(Gunosy創業者)が同社創業の狙いを語った。

LayerXの福島良典社長(Gunosy創業者)

「これからブロックチェーン」と思っているかもしれないが……

 福島社長はGunosyの代表を8月24日付で退任し、LayerXでの新規事業のみを担当する考え。「Gunosyの代表を続けながらLayerXの事業も行う選択肢もあったが、リソース配分やKPI設定が難しい。平行するには相当の集中力が必要」と話す。

 「ブロックチェーンには世界中の天才たちが、人生を懸けて新事業を展開している。中途半端なリソースでは彼らに勝てない」と、自身もリソースの全てをブロックチェーンへ注ぐことを決心した。

 また、福島社長は「ブロックチェーンは20年ぶりに訪れた大チャンス。インターネット以来の大きな波だ」と現状を認識。

 「インターネットで大きくなった会社はほとんどが95年〜98年に生まれている。その次はモバイルインターネットで、09年〜12年。では第3の波であるブロックチェーンはというと、13年〜15年に出てきた会社やプロジェクトが支配的な立ち位置にいる」と、これまでの技術的変化の波と最適な起業タイミングを分析する。

 こうした分析の上に立つと、18年という今は「ラストチャンス」だという。

 「世間的には『これからブロックチェーン』と思っているかもしれないが、僕からすれば今のタイミングが、波に乗れるかどうかギリギリのところ」(福島社長)

 12年にGunosyを立ち上げ、ギリギリ第2の波に乗れた福島社長。今回の波も逃す手はないと意気込む。

多くの会社にブロックチェーンノウハウは蓄積されない

 LayerXでは、ブロックチェーン上のトークン設計や、実装コードの監査サービスを提供する予定だ。

コードaudit(監査)で、デプロイ前に欠陥を見つけ最適化する

 さまざまな企業がブロックチェーンに注目しているが、日本にはブロックチェーンに関する正しい情報や最先端の事例が少なく、企業やエンジニアにノウハウがたまっていないと福島社長は指摘。

 LayerXはブロックチェーン導入を検討する企業とともに、プロジェクトの実現可能性や設計、実装をコンサルティングすることで、自社内にブロックチェーン技術のノウハウを蓄積することを目指す。

 また、ブロックチェーンの日本最大エンジニア向けコミュニティー「BlockChain.Tokyo」の運営や、自社事業を通して国内のブロックチェーンエンジニアを育成する。中長期には、独自チェーンの開発や自社プロダクトを展開したいとしている。

エンジニア向けコミュニティー「BlockChain.Tokyo」
ブロックチェーンエンジニア育成に力を入れる

 「他の業務にリソースを割かれない環境で、1日中ブロックチェーンの技術のことだけを考えたいという人は、ぜひ弊社に来てほしい」(福島社長)と、イベントに参加したエンジニアたちに呼びかけた。

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