欧州のスタートアップ事情を紹介する本連載では、これまで3回にわたり欧州のスタートアップと日本企業の相性の良さを伝えてきた。
今回は欧州のスタートアップのうち、日本進出を検討している、もしくは既に進出を始めているブロックチェーン関連企業にフォーカスする。
今年7月に、韓国・ソウルで開催されたアジア最大級のブロックチェーンカンファレンス「Beyond Blocks Summit Seoul」に参加したときのこと。日本でも4月に同イベントが開催されたこともあってか、会場には日本人がほとんどいなかったが、世界中から2000人以上もの参加者が集まった。
弊社(アドライト)のコンサルタントで関連ファンドの投資責任者でもあるマックスウェル・ワイス(Maxwell Weiss)がモデレーターとして登壇したセッション「The Mainstream Effect - The Startup X Corporate Connection(大手企業とブロックチェーンスタートアップの協業について)」で、興味深い話が出た。
世界的にブロックチェーンが注目を浴びているのは確かだが、ブロックチェーンスタートアップに限っては、「技術にこだわりすぎて事業に目が向かない」「ICOで資金調達が先行し、ビジネスを考えるのが後手になる」などした結果、ブロックチェーンを使ったビジネスが成り立っていないという。
ICO済みの企業の半分以上が4カ月間以内に破綻しているという統計もあり、投資家の間で盛り上がっているわりには、ビジネスとしての発展や成長スピードが遅いと懸念する登壇者もいた。
こうした背景を受け、ブロックチェーンスタートアップは従来のネットベンチャーと同じような手法で事業を立ち上げ、資金調達をしはじめている。技術からビジネスに焦点を当て、資金調達についてはベンチャーキャピタルが投資する場合の「ラウンド」に対する適切な金額を適用する考えだ。
投資家や市場のプレッシャーを感じる中、彼らは売上を作るための1つの手段として大手企業との接点を求めているのだ。特に日本の大企業はブロックチェーンに前向きという印象があるようで、興味・関心が高まっているように見えた。
その前に、ブロックチェーンの状況について整理しておきたい。日本でも金融企業がシステムの効率化やコスト削減を目的にブロックチェーンを活用した実証実験を行うことが多かったが、現在は「金融での導入の加速」「完全分散型アプリケーションの一般公開」「金融以外でのユースケースの明確化」といったトレンドが世界で起こりつつある。
「StormX」というサービスのマーケットプレイスも大手企業と組んで成長を遂げたりと、続々と導入ケースが増えている。
冒頭述べた、日本進出を検討しているか、あるいは既に進出を始めているサービスを4つ紹介する。
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