まずは、高級中古品の信頼性を保証するフランス発のブロックチェーンスタートアップ「Arianee」だ。欧州最大級の高級中古品売買サービス「Vestiaire Collective」の創業者が2018年に立ち上げた。
同社は、Vestiaire Collectiveで購入された商品がその後フリマアプリなどに流通した際に、出品したメーカーへの還元もなければ、本来購入者となっていたかもしれないユーザーを失うことにもなることを問題視。中古品を購入したユーザーにメーカーが連絡する手段がなく、関係性も構築できないため、これをどうにかできないかと考えた。
売上に加え、顧客との関係をいかに築いていくか検討した結果、ブロックチェーンに行き着いたという。売買が成立した商品と保証書をセットで管理することで、商品を「本物の証」と定義。専用アプリを通じてメンテナンス時期の情報を通知するなどし、顧客とのコミュニケーションにつなげている。
世界中のメーカーは、出品した時点から商品が管理され、サービス利用を通じてユーザーと大規模かつほぼ永続的にやりとりできることに魅力を感じているという。
同社にはLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)、リシュモングループ、ファーストリテイリングUSA等大手ファッション企業の役員がアドバイザーとして参画している。
Arianeeは現在、日本進出を真剣に検討している。弊社が4月に開催したグローバルマッチングイベント「Japan Tech Leaders Summit Spring 2018」にも参加していたが、日本は小売企業も多く、高級中古品マーケットの可能性と仮想通貨の認知度の高さに可能性を感じているという。
実際、日本の大手企業からも注目され出している。従来はブロックチェーンに興味を示している国内外の技術部署やイノベーション部署との話し合いが一般的だったが、現在は顧客との関係構築の観点からマーケティング部署との折衝が多いとしている。
17年に創業したイスラエル発の「Orbs」は、ブロックチェーンを基盤としたコンシューマー向けアプリのインフラを提供することを目標にしている。
ブロックチェーンには、誰でも参加できるパブリック型と、参加者を限定したパーミッション型がある。パブリック型ブロックチェーンのイーサリアムにはパフォーマンスや技術に根本的な欠陥があり、革命的なものを作り出そうとしても限界があるという。Orbsの開発者たちはこのスケーラビリティを解決し、取引の高速化や流動性などを実現しようとしている。
現在、Orbsの開発チームは70人ほどで120億円の資金を集めている。資金調達の中心がアジアで、イスラエルやシンガポール、韓国に拠点があることから、米国よりもアジアへの展開を考えているという。共同創業者の1人、ユリエル・ペレド(Uriel Peled)さんは「仮想通貨ユーザーが多い日本は、マーケットとしても魅力的」とイベント内で語った。
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