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» 2018年09月26日 09時00分 公開

特集・ITで我慢をなくす「流通テック」:郵便ポストの中身が丸見えに? 日本郵便がテクノロジーで描く、物流の将来像 (2/2)

[山口恵祐,ITmedia]
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ポストが同じ場所に2つ並ぶ? テクノロジーで解決したいこと

 物流拠点で改善が見込める点は他にもある。例えば、郵便局から県外の郵便局などに荷物を運ぶトラックの運行ダイヤだ。現在は、熟練した社員が長年培った経験則に頼っているところが大きいという。

 「実際にトラックがどこに移動したのか、荷物量は、郵便局へ一度に入れるトラックの数は──といった情報を細かく分析することで新しい発見があるのではと考えています」(瀧本主任)

photo 「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」で最優秀賞を受賞したオプティマインド(名古屋市)

 荷物を配達先に届ける直前(ラストワンマイル)にもテクノロジーの活用を見込む。17年に行われたPOST LOGITECH INNOVATION PROGRAMの採択企業である名古屋大学発ベンチャーのオプティマインド(名古屋市)は、AI(人工知能)を使った郵便配達ルートの最適化を行う仕組みを開発し、現在は東京と名古屋で試験的に運用しているという。

 オプティマインドはこの技術を使うことで、これまで人の手で行ってきた配達ルートの作成を自動化し、新人でもベテランレベルの効率的な配達ができることを目指すという。

 街にある郵便ポストにも創意工夫の芽はある。例えば、ポストの中身を可視化することで郵便物の集荷を効率化するというものだ。都心部などでは郵便ポストが同じ場所に2つ設置されていることがあるが、これは郵便の差し出しが集中する場合がまれにあり、一方のポストが郵便であふれてしまうことへの対策が主な理由だ。現状は集荷の回数を増やすことで対応しているが、ポストの中身を前もって知ることができれば、少ない人員で効率よく回れるようになる。

photo 2つ並んだ郵便ポスト(横浜桜木郵便局で撮影)

 「人の目でしか確認できなかったものが機械で確実に確認できるようになれば(課題解決の)選択肢が広がるはずです」(瀧本主任)

ドローンを使った郵便配達は現実化するか

 物流業界ではドローンを使った荷物の配達などを検討する動きもあるが、本当に実現するのか疑問に思う人も多いだろう。日本郵便では、近い将来にドローン技術を配送分野に導入することを見込んでおり、16年から国交省などと共同で、実証実験を行ってきた。

photo 実証実験で使われたドローン

 現時点では、障害物が多い都心部では、ドローンを飛ばすには解消すべき課題が多くあるが、山間部や過疎地、離島などでは、郵便局から郵便局、または郵便局から配送拠点までといった使い方では実現できる可能性は高い。

 「ドローンや自動運転車による配達が実現すれば、配達の風景は大きく変わるでしょう。しかし、郵便局の一番の強みともいえる、顔と顔を合わせるFace to Faceのつながりは変わらないと思っています」(瀧本主任)

人々の生活に寄り添う、必要不可欠な社会インフラとして

 17年に始まったオープンイノベーションプログラム。実際にスタートアップ企業からは、日本郵便の社内では思い付かないようなアイデアや、瀧本主任らが驚くような新技術を続々と提案されているという。

photo ロボットベンチャーのZMP(東京都文京区)と日本郵便、ローソンなどが、独自で福島県南相馬市で行っていた実証実験のようす。宅配ロボット「CarriRo Delivery」(キャリロデリバリー)でコンビニの商品や郵便物を一緒に配送する

 新規事業を推進する部門だけでなく、経営陣も含めた企業全体が郵便や物流の課題に対する危機意識があるからこそ、一体となって取り組めていると瀧本主任は話す。

 「郵便局の社会的使命は、地域に寄り添いながら支えることです。これは、どんなにテクノロジーを取り入れようとも、何ら変わるものではありません」(瀧本主任)

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