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「極上の広告体験」とスパムは何が違う? 個人情報と広告の“微妙な関係”ITりてらしぃのすゝめ(1/2 ページ)

» 2018年10月30日 08時00分 公開
[宮田健ITmedia]

 最近、Webサイトやスマートフォンアプリに表示される「広告」の話題が目立ちます。そもそもインターネット上に表示される広告は、その表示やクリック数、成約ごとに広告料が計算され、広告が表示されたサイトやメディアに支払われていきます。

 もちろん本コラムも例外ではなく、広告バナーが表示されていることにより、収益の一部が私の原稿料になっているわけで、ひとごとではないどころか、立派な利害関係者の一員です。

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 しかし、私自身はインターネットを利用する側の立場として、このネット広告というのがそろそろ危うくなってきた、という印象が大変強いです。危うさにはいくつかの種類があるので、それぞれについて少しづつ触れていきたいと思います。

極上の広告体験とスパムは何が違う?

 まずは、ネット広告の特性について。通常、マスメディアと呼ばれる新聞、テレビ、ラジオ、映画、雑誌といったものに掲載される広告は、番組や特集によりますが、基本的には1種類のターゲット属性に合わせて放送されます。ところが、ネット広告は一人一人の属性に合わせてカスタマイズした広告を表示できます。これぞ、ITの力ですね。

 しかし、そのためにはいくつものハードルがあります。そもそも、一人一人の属性に合わせて内容をカスタマイズする広告を誰が作るのか。また、その「属性」はどうやって調べるのか。

 これが実現できているかというのは、恐らく見る側の立場である皆さんが、これまでのインターネット人生の中で「素晴らしい広告に出会えた!」という体験があったかどうかによるわけですが、私の体験でいうとそんな奇跡には出会うことはできていません。大抵どこかで見た広告です(大体は個別カスタマイズできないマスメディアか、とがった視点を持ったネットメディアの広告)。

 ネット広告はどうしても目立ちます。良い方向で目立てばいいのですが、どちらかというと「調べ物でとある検索をしたら、次の瞬間から全部の広告がそれになった」といった、悪目立ちの方向です。

 それでも、広告を出す側の意見は「今まで見たことのない、普段なら接点がなかったような極上の情報と出会うかもしれない」というものかもしれません。あなたには無駄な情報に見えても、数万人に1人はドンピシャリの情報なのだ……と。

 個人的には、構造的に「迷惑メール」と似ている部分があると感じています。例えば“あなたにだけ特別なプレゼントをあげます“というスパムは、数万人、数十万人に1人レベルで引っ掛かる人がいれば、ビジネスとして成り立ってしまうものです。目的は全く異なりますが、広告も同程度の確率で商品を購入する人が出てくれば成果としてまずまず。そのくらい頻繁に表示されるので、広告を煩わしく思うユーザーがいても不思議ではありません。

Facebook広告で利用している「個人情報」

 また、「自分の個人情報がどこまでサービス側に収集され、広告に利用されているのか」というのも、サービス利用者にとっては非常に気になるポイントです。例えば、パチンコに全く興味がないのに、ある日から突然パチンコなどギャンブル関連の広告ばかり流れてくると、ギョッとしてしまうこともあるでしょう。

 プラットフォームは、こうした「ユーザーの個人情報と広告利用の関係」についてどう考えているのでしょうか。Facebookの例を見てみましょう。

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