先日、Facebookは約3000万人のアクセストークンが流出した事件などを受け、同社のプライバシー保護の取り組みを紹介する説明会を開催しました。この件に関しては、下記のように記事としてまとめられています。
少々気になったのは、以下の部分。
これについてシャーマンさんは「広告表示の仕組みについても、ユーザーはプライバシーセンターから確認できる。それを見れば、位置情報や外部サイトからの情報も利用していると分かる。広告はFacebookにとって重要なビジネスの1つで、広告閲覧のポジティブなユーザー体験も大切にしている」とし、「ユーザーと関連が高い広告とプライバシーは相反しないという考え」と説明した。
広告表示の仕組みに関しては、同社の下記のページにまとめられています。
この中で、Facebookが広告表示のために使う「属性」が記載されています。主なものは下記の通りです。
Facebookグループ企業の製品全体でのアクティビティ
- あなたや友達が「いいね!」したページ
- FacebookプロフィールやInstagramプロフィールにある情報
- Facebookを使用してチェックインしたスポット
他のビジネスとのアクティビティ(電話番号やメールアドレスの共有により)
- メール配信されるニュースレターへの登録
- 小売店での購入
- クーポンまたは割引の登録
他のサイトやアプリでのアクティビティ
- 他のウェブページの閲覧
- モバイルアプリのダウンロード
- 製品のショッピングカートへの追加または購入の実行
位置情報
- インターネットへの接続場所
- 携帯電話の利用場所
- FacebookプロフィールとInstagramプロフィールに追加された位置情報
気になるのは、やはり位置情報でしょうか。Facebookファミリーに入ったInstagramの情報もしっかり利用されていることも分かります。これらの情報を使い、例として「自転車愛好家」に向けた広告を打てるということも挙げられています。
ここからも、SNSを“無料で”利用できる対価が、私たち利用者の個人情報であることが分かります。これを対価に見合わないと判断するならば、SNSの退会こそが正しい行動でしょう。とはいえ、そこまでするのは現実的ではないのも事実。
もしこれらの情報を基にした広告が表示されることがイヤなら、「設定」から広告→広告設定を見直しましょう。ただし、広告に反映するかしないかを選択できるだけで、収集そのものをストップさせるわけではないことにご注意を。
プライバシーに関する議論は各個人の捉え方が影響するため、気にする人は気にしない人を理解できないですし、その逆もまた同じです。個人的には「その企業が集めた個人情報を、その企業自体が使う」ことはあまり抵抗はありません。
家電量販店などのポイントサービスやAmazonの「おすすめ」などは、利用者から見ても渡した個人情報が有効に使われ、それっぽいメリットが受けられていると感じます。
そう考えると、今後の課題は「個人情報が複数の企業で共有される可能性」を考えておくことかもしれません。日々見続けているSNSの情報だけでなく、身につけているウェアラブルデバイスからの生体情報、スマートフォンから発せられる位置情報などを組み合わせると、確かにすごいサービスができるかもしれません。さまざまなIoT機器が連携し、冷蔵庫にある食材で作れるレシピを表示したり、「最近運動していないですね。近くにあるジムはこことここです」と教えてくれたりする未来は面白そうです。
しかし、これは複数種類の個人情報がなければ実現できないはず。私のように抵抗のある人もいるでしょう。
こうした現状を踏まえ、私はSNSに集まる情報が他とミックスされないよう「SNS専用ブラウザ」を用意しています。調べものをする通常のWebブラウザでは、各種SNSをログアウトした上でCookieなどの情報も削除し、SNSは別のブラウザで見るというもの。どこまで効果があるかは何とも言えませんが、利用者レベルでできることの一例です。
プライバシー情報と広告は密接なつながりがあります。特に広告に関しては、話題になっている「アドフラウド」(参考:NHK)を見ても分かるように、その活用において行きすぎた活動が目立つことが多いのも気になります。利用者側がなかなか対策を打てない分野ですが、まずは自分の個人情報がどう利用されているか、少し気にしてみるといいかもしれません。
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