ヤマハのNETDUETTO(ネットデュエット)が5Gで注目を浴びている。
NETDUETTOは、遠隔地同士のミュージシャンがその場にいるかのようなライブセッションをできる技術だ。ヤマハの音楽技術とルータをはじめとするネットワーク技術が合体して生まれた。
発想から10年を経たNETDUETTOが5Gネットワークで次の進化を遂げようとしている。この技術がどのように発展してきて5Gで何を得るのか、発案者であり、現在もこのプロジェクトを推進している、ヤマハ 研究開発統括部 第1研究開発部 サービスプラットフォームグループの原貴洋主事に話を聞いた。
NETDUETTOが一般公開されたのは2011年。筆者は2010年にアルファ版ユーザーとしてこのサービスを使っている。それから8年ほど経ち、5Gを機に、関心が高まっているという。
始めた当初はデモをしてもよく理解してもらえないことが多かったNETDUETTOだが、最近はちゃんと分かったうえでスゴイと言ってくれる人が増えた。
NETDUETTOの始まりは個人的な実験だった。
ヤマハ自身、遠隔地からのリアルタイムライブ演奏は、データを電子化されたコンパクトな情報で送れるMIDIによるものは実験していたが、2005年頃の常識では遠隔地でオーディオを通すのは無理と言われていた。だが、2008年から原さんが「やってみたらできるのでは」と個人的に実験を開始。オーディオによる実験が行けそうになって、他の社員の協力を得てプロジェクトとして始動した。
原さんはもともとネットワーク関連のソフトウェア開発に携わっており、レイテンシ(遅延)を少なくするための手法が、音楽のセッションにも適用できると考えたそうだ。
最初はWindows用のスタンドアロンアプリとして、次にMac対応が発表され、後にはVSTという音楽用プラグインのフォーマットとしても提供されるなどして利用は広がっていった。2011年にはニコニコ生放送にNETDUETTOが組み込まれ、光回線のPCユーザー同士であればニコ生参加者同士が遠隔地でセッションをすることも可能になった。
次のジャンプアップポイントは2018年にやってきた。NETDUETTOにIPv6が導入されたことによってさらなる低遅延化が可能になったのだ。
2020年に本格的に導入開始される予定の5Gはその次のステージとなる。
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