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首掛けAIスピーカーで業務効率アップ、オンキヨーがNTTドコモと協力

» 2018年12月18日 17時32分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 オンキヨーは12月18日、NTTドコモの「ドコモAIエージェントAPI」を採用し、首にかけるウェアラブルAIスピーカーをB2B市場向けに展開すると発表した。人手不足が深刻なサービス業を始め、製造業や医療など幅広い業種に訴求する考え。

蹄鉄(ていてつ)型のウェアラブルAIスピーカー「VC-NX01」。重さは約100グラム

 「VC-NX01」は、今年1月に開催された、世界最大級の家電見本市「CES 2018」でオンキヨーが公開したウェアラブルAIスピーカー。音響機器メーカーとしては早くからAIに取り組んできた同社は、Amazon AlexaやGoogleアシスタントに対応したスマートスピーカーなどを製品化済み。VC-NX01は自社開発の「Onkyo AI」を導入する計画だが、一方で「業務用として使ってみたい」という声を受け、ドコモAIエージェントAPIの採用を決めたという。

 「小型軽量のため作業の邪魔にならず、耳をふさがないから周囲の音も聞こえる。(業務用途にも適した)安全性の高いウェアラブル端末だ」とオンキヨーの宮崎武雄氏(同社AI・IoT事業推進室 室長)。不要な帯域のノイズを減らすノイズサプレッション機能や自己再生音を消すエコーキャンセル機能、マイクアレーによるビームフォーミングといた音響技術を盛り込み、屋内のみならず屋外でもスムーズに会話できる性能を目指した。

オンキヨー、AI・IoT事業推進室の宮崎武雄室長

 デモンストレーションでは、百貨店のコンシェルジュサービスを披露。顧客にウェアラブルAIスピーカーを装着してもらい、時間や場所をトリガーとしてさまざまな情報をプッシュしてみせた。例えばお昼時には飲食店を紹介し、店舗の前を通るとタイムセールを告知する。マンパワーを使わずに、きめ細かい顧客サービスが可能になるとしている。

百貨店のコンシェルジュサービスをデモ。お昼時には飲食店を紹介する

ドコモはB2B2X市場に向けて本格展開

 NTTドコモの自然対話エンジンは2012年の商用化から6年以上、コールセンターのFAQチャットbotやコミュニケーションロボットなどに展開してきた。16年には「Project SEBASTIEN」と呼ばれる新しい対話エンジンを提供。「あらゆるモノに対話型AIサービスを」を合言葉に、対応製品やサービスを増やしてきた。

NTTドコモの自然対話エンジンは、それぞれのデバイスに向けてSDKを提供している

 核となる対話エンジンは、スマートフォンやロボットなどのデバイスに向け、それぞれSDK(開発キット)を提供している他、対話専用の設計言語「xAIML」の仕様を公開し、「誰でもコンテンツを作成できることも特徴」(NTTドコモ、イノベーション統轄部クラウドソリューション担当課長の秋永和計氏)。19年にはオンキヨーのウェアラブルデバイスを皮切りに、B2B市場向けの商用利用を開始するという。

 「自然な対話を通じてコンテンツを提供したり、デバイスを操作したりといった、まるでモノが意思を持ち、人と対話するような新しい体験を提供したい」(秋永氏)

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