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「クリエイターとユーザーの架け橋に」 ソニーが8Kテレビや立体音響を手掛ける理由CES 2019(1/2 ページ)

» 2019年01月08日 20時53分 公開
[山本敦ITmedia]

 「CES 2019」開幕前日の1月7日(現地時間)、ソニーが展示会場でプレスカンファレンスを開催し、春から北米と欧州で順次導入する8K液晶テレビや音楽配信向けの立体音響技術「360 Reality Audio」を紹介した。ソニーの吉田憲一郎社長は、ソニーは今後も新しいハードウェアやサービスを提供し、「コンテンツの感動を届けるクリエイティブエンタテインメントカンパニーでありたい」と強調した。

プレスカンファレンスに登壇したソニーの吉田憲一郎社長

 吉田氏によると、ブラビアの新製品や360 Reality Audioは、クリエイターが意図したコンテンツ表現をユーザーに伝えるための手段。クリエイターとユーザーをつなぐ“架け橋”として全力で開発しているという。

 その8K液晶ブラビアには、98V型と85V型の「Z9G」シリーズが登場。ブラビアのフラグシップが冠する「MASTERシリーズ」に加わることになる。今回は北米および欧州向けのモデルで日本市場への導入については未定としているが、既に8K放送がスタートしている日本で販売しないことはないだろう。

8K液晶ブラビア「Z9G」の98V型

 特徴は高画質プロセッサー「X1 Ultimate」をベースに、画素密度の高い8Kパネルでも十分な明るさとリアリティを持つHDRコンテンツの再生を可能にしたこと。8Kパネルは画素サイズと密度の関係から4Kパネルよりも光の透過率が下がり、画面が暗くなりがちだが、ソニーは映像エンジンのアルゴリズムとバックライトのローカルディミング(分割駆動)をチューニングし、結果的に現行の4Kブラビア「Z9F」シリーズを超える輝度を実現したという。8K専用の映像データベースを学習させた超解像アルゴリズムにより、様々なコンテンツを8Kにアップコンバートする「8K X-Reality Pro」も搭載している。

Z9Gシリーズの85V型

 本体フレームの上下に2基ずつスピーカーユニットを埋め込み、画面に表示されるオブジェクトから音が迫るような体験を可能にする「Acoustic Multi-Audio」は本機のために開発した新しいスピーカー技術だ。ファームウェアのアップデート後にはテレビ単体でドルビーアトモス再生も可能になるという。

4K有機ELブラビアも登場

 4K有機ELブラビア「A9G」シリーズも「MASTERシリーズ」に名を連ねる高級機だ。画面サイズは77V型、65V型、55V型の3種類。従来機にあたるA9Fの卓上カレンダーのようなデザインは見直し、スリムなパネルを垂直に立てて、安定感の高いテーブルトップスタンドで支えるオーソドックスなデザインにした。同シリーズも北米・欧州向けモデルとして発表された格好で、春以降の発売を予定している。価格は未定だ。

4K有機ELブラビア「A9G」の77型

 アクチュエーターを使ってガラスパネルを振動させ、画面から音が出ているような効果を実現した音響技術「Acoustic Surface Audio+」を搭載。こちらのシリーズもソフトウェアのアップデートによりドルビーアトモス再生に対応する。

 Z9G/A9Gは、いずれも米Googleの「Googleアシスタント」を内蔵し、声で各種スマート機能を操作できる。またAmazonの音声アシスタント「Amazon Alexa」と連動してテレビの電源をオン/オフしたり、チャンネル送りなどベーシックな操作にも対応。Alexaについては現在、天気を訊ねるとテレビに画面に情報を表示したり、Amazon Musicのコンテンツは歌詞も表示できる機能を持たせたりと、技術統合を進めるための検証を行っている段階だという。

 またA9GとZ9Gはソフトウェアのアップデートによって、Appleの「AirPlay 2」と「HomeKit」に対応する予定。iPhoneで再生している映像コンテンツをブラビアにミラーリングして楽しんだり、「Siri」を使ってテレビのコントロールもできるようになる。さらに両方のシリーズともにソフトウェアのアップデートによってHDMI 2.1に対応する。

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