ITmedia NEWS > ネットの話題 >
セキュリティ・ホットトピックス

「いたずらURL」補導にCoinhive事件、“警察や法律を頼れない時代”に私たちがすべきことITりてらしぃのすゝめ(2/3 ページ)

» 2019年03月13日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]

 それに、メールに記載されているパスワードも、これまで多くのサービスで漏えいしたものだということに気が付けば、このサイバー犯罪者は「実は何もできない人たちなのでは?」と気付くことができるはず。漏えいされたパスワードはブラックマーケットで販売されています。

 セクストーションスパムをばらまくタイプのサイバー犯罪者はハッキング能力があるわけでもなく「販売されている情報を基に詐欺を行うしかできない」人たちといえるでしょう。ただし、それもそれなりに実益が上がるビジネスになってしまっているのは問題です。

 私たちを混乱させて判断力を奪い、だましにかかる――つまりこれは、私たちのリテラシー不足を狙った仕組みです。これに対抗するには、振り込め詐欺対策同様、われわれが“知る”必要があります。セクストーションスパムに限っていえば、それに加えてパスワードを使い回さないための「パスワード管理ソフトの利用」が有効かもしれません。

法律の「グレーゾーン」

 ところで、このセクストーションスパムは“犯罪”なのでしょうか。恐らく多くの方が「犯罪以外の何物でもない」と考えると思いますが、具体的にどの法律に違反しているのかパッと言い切れる人は少ないでしょう(恥ずかしながら実は私も法律論は大変弱く……)。こういうことは最近、特にIT周りでとても多くなったと思います。

 例えばいままさに大きくクローズアップされている、「JavaScriptによる無限ループ」を使ったスクリプトが埋め込まれたURLをネット掲示板に貼り付けた件などもそうでしょう。実際にはブラウザが利用不可能になる“ブラクラ”ですらなく、タブを閉じれば元通り、何ごともなかったかのように操作可能な内容です。本来はそのURLをここに示して皆さんにも実体験していただきたいところなのですが……。

セクストーション 問題になったとみられるサイト(iPhoneのChromeブラウザ)

 今回の無限ループに関する件だけでなく、Web閲覧者の同意を得ない状態で仮想通貨の採掘を行わせることの是非を問うことになった「Coinhive」の件も同様ですが、ネットでは一定数「警察に捕まったから犯罪なのだ」と判断している人がいます。特にYahoo!ニュースへ転載された記事は閲覧数が多く、幅広い読者が読んでいることもあり、コメントとしてそのような考え方が表面化しているのが見て取れます。

 これに関して、法律論や警察のあるべき論に関してはひとまず他の記事に任せることにします。まずは、「このようなことが起きないためにできること」を考えるべきだと思うからです。

 そのためにも、「正しい判断を行えるようになるため、まずは“知る”」ことが大事です。特にJavaScriptによる無限ループに関しては、それがあまり害のないいたずらレベルであることを知らず、「警察が捕まえたからアウト」「自分も引っかかったらイラッとする」という程度の認識しかなければ、正しい判断はできません。

 正しい判断をするために「法律をアップデートし、白黒はっきりさせるべき」と考える人もいるかもしれません。しかし、本当にそれでよいのでしょうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.