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ドライブデートの行く末はメタバースだスマートモビリティーで激変する乗り物と移動のかたち(1/3 ページ)

» 2019年03月29日 17時55分 公開
[野間恒毅ITmedia]

 カーシェアに自動運転技術。モビリティーのスマート化はとどまることを知らない。その一端を感じさせてくれたのが、CESでお目見えした日産の「ドライブデート」だ。

 年初に米国ラスベガスで開催される世界的なイベント、CESは元々Consumer Electronics Showの略であり、世界一の家電ショーとうたわれていた。現在はさらにその規模が拡大し、家電のスマート化に限らず、各国のスタートアップから大企業、カーメーカーも参入する最新技術、破壊的イノベーションの見本市と装いを変えている。

この連載の筆者について:

野間恒毅(のまつねたけ)。ブロガー&ライター、ライダー&ドライバー。ソニーでVAIO用ソフト、VR、ネットサービスを企画開発。ニューヨーク大学留学でIoTを学んだのち、ブログソフト会社に転職。その後起業しウェブシステム、スマホアプリ開発を手掛ける。現在自動操船ヨットのスタートアップを立ち上げ、漁業のスマート化に取り組む。


ユニバースとメタバース

 CESはモーターショーと異なり、元が家電ショーであるためここでカーメーカーが出展したとしても新車発表の場ではない。またコンセプトカーを展示したとしてもそれは自動車自体の在り方をみせるというより、さらにテクノロジー寄りのデモとなる。2019年1月、CESで日産が提案したのは現実世界の話ではなく仮想現実の世界「メタバース」だ。

 メタバースとは現実世界をユニバースと呼んだときその対極。仮想現実ヘッドマウントディスプレイ(VR HMD)やAR(拡張現実)グラスなどを通してアクセスができる仮想世界のことである。

photo ユニバースとメタバース

 VR自体は1960年代のアイヴァン・サザランド博士による研究に始まり、1990年代以降に盛んになってきた技術であるが、コンピュータの処理能力の限界、指や手の動きをセンシングするデータグローブやHMDなど様々なデバイスのコストの問題から、限られた研究機関や一部のエンターテインメント施設でのみ使われるにとどまっていた。

 2000年代には現実世界を模した仮想現実の世界で生活する「セカンドライフ」がブームとなり、多くの企業が参入したもののビジネス化が難しく、ブームは去っていった。

photo セカンドライフ三越店

 2010年代後半、GPUなどのコンピューティングパワーが増大し、Oculus Rift、HTC VIVE、PS VRといった低価格HMDが登場したことで気軽に入手可能となり、再び脚光を浴びている。

 またスマートフォンも高精細化され、処理能力が高度化したことにより、Gear VRやGoogle Daydream ViewのようにHMD化することも容易となった。Oculus GoのようなスタンドアロンHMDも登場した。これでユーザー層の裾野は広がり、VRコンテンツの普及が促進されている面も見逃せない。

 大衆車メーカーは昨今「若者のクルマ離れ」に対して危機感をもっており、特にスマートフォンがその原因と考えている節がある。

 ひと昔前であれば固定電話を使い、相手の家に電話して約束を取り付け、マイカーで乗り付けてドライブに出かけるというのが定番のデートであり、若者はこぞって運転免許を取得、自分の車を購入したものだ。

 しかし現在では連絡手段はスマホ、娯楽もスマホ、デートは近場か部屋の中、でかけたとしてもカーシェアかレンタカーという状況では、スマホへの恨み節もでようというもの。

 今回の日産の取り組みはそんなスマホ世代に対抗しようというより、むしろその中に飛び込んで、未来を見せようというもののようだ。

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