Invisible-to-Visibleで使われるバンには男性2名が乗車。その目の前には空席。
しかし装着したARグラスを通してこの座席の上にアバターが現れる。そのアバターの中の人は遠隔地にいる生身の人間である。
なんともシュールな光景であるが、単なるTV会議システムといったものと違い「存在感」を強く感じる。そのため距離感がなく、まさに向いに座っているかのようだ。
それが独特の緊張感を呼び起こす。人見知りの人なら共感すると思うが、初対面の人が目の前に現れ、さあドライブデートだ、おしゃべりしましょうとなって緊張しないはずがない。何を話したらいいのか? ドギマギしてしまう。実際には目の前に存在しないにも関わらずである。
メタバースの世界の中では誰でも美女、イケメンになれる。つまり容姿はハンディとならず、むしろ声であったり会話内容が重要だったりする。またボットが人工知能で進化すれば生身の人間との区別は容易ではなくなる。すでにTwitterで恋をしたアカウントが実はボットだったという笑い話があるが、メタバースの世界では笑い話ではなく、本当に起き得るのだ。
Gateboxはいわゆる「オレの嫁」を映し出す3Dディスプレイである。LINEでチャットをしたり会話することであたかも実在する「オレの嫁」であるかのように感じられる。
こうなると不自由な現実世界、ユニバースよりも都合のいい仮想世界、メタバースを選ぶユーザーも多くなるのは自然なことだ。まるで映画「マトリックス」の世界のように。しかしその世界はAI、ロボットに支配され人類は絶滅の危機に瀕したディストピア。
テクノロジーの進化が必ずしも人類に幸せをもたらすとは限らない。
未来のドライブデートが仮想現実になったとき、少子高齢化はさらに進むのではないか? そしてカーメーカーの行く末はどうなるのか?
そんな不安が一瞬頭によぎった。杞憂に終わることを祈らずにいられない。
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