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ドトールとスタバ、分かれる「モバイル決済」戦略 “自前主義”か“オープン主義”か

» 2019年04月18日 12時48分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 ドトールコーヒーが、プリペイドカード「ドトールバリューカード」の機能を取り込んだ専用スマートフォンアプリ(iOS/Android)を4月22日から提供する。カードを持ち歩かなくても、会計時にアプリのバーコード画面を提示し、決済が完了。購入額に応じてポイントもたまる。

 モバイル決済アプリとポイントサービスが乱立する中、各社の戦略は、ドトールコーヒーのような“自前主義”と、他社アプリを積極的に導入する“オープン主義”に大きく二極化しているようだ。

「ドトールバリューカード」を“電子化”

photo ドトールコーヒーが4月22日から提供する、プリペイドカード「ドトールバリューカード」の機能を搭載したスマートフォンアプリ=同社のニュースリリースより

 ドトールコーヒーは、非接触ICチップを搭載したプリペイド方式のカード「ドトールバリューカード」を展開している。グループ店舗のドトールコーヒーショップ(約1100店)、エクセルシオール カフェ(約120店)での会計時、現金の代わりに電子マネーを使える。1回のチャージ金額が2000円以上の場合はチャージ額の5%分、支払い時は購入額の1%分をポイントで還元する。たまったポイントは、10ポイント=10円単位で使える。

 新たにリリースするスマホアプリは、このプリペイドカードを携帯しなくても、アプリ画面を提示すれば決済できる。これまで店頭での現金チャージか、会員専用のWebサイト「マイドトール」上でのクレジットカードによるチャージしか対応していなかったが、新アプリでは事前にクレジットカード情報を登録しておけば、2回目以降は入力不要でチャージが可能。電子マネーやポイントの残高もアプリ上で確認できるようにする。

 従来の物理的なプリペイドカードに加え、スマホ決済の仕組みも整えることで「キャッシュレス化によるスピード決済対応を推進し、顧客の利便性とサービス向上に取り組む」(ドトールコーヒー)としている。

“自前主義”と“オープン主義”で二極化

 ドトールコーヒーは、4月にカルチュア・コンビニエンス・クラブが提供するポイントサービス「Tポイント」の採用も取りやめている。同社は「Suica」などの交通系ICカードは導入しているが、各社が導入を急いでいるモバイル決済アプリ、ポイントサービスでは“自前主義”をみせている。

 一方、他社と組む“オープン主義”に舵を切る企業もある。スターバックス コーヒー ジャパンは4月、メッセンジャーアプリ「LINE」上から発行可能な電子版プリペイドカード「LINEスターバックスカード」を発表。同カードを発行すると、スターバックスの会員制ポイントプログラムに自動登録され、購入額に応じてポイントが付与される仕組みを設けた。さらに2020年夏までに、モバイル決済サービス「LINE Pay」を全店舗(約1400店)へ導入する計画だ。

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 他業種だと、ファミリーマートは「LINE Pay」「d払い」「PayPay」「楽天ペイ」など、他社の決済サービスを採用する一方、独自のモバイル決済アプリ「ファミペイ」を7月に導入するとしている。ポイントサービスも、これまでは一貫して「Tポイント」のみを採用していたが、11月からは「dポイント」「楽天スーパーポイント」も導入。顧客の多様なニーズに対応する姿勢を見せている。

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