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» 2019年04月26日 07時00分 公開

「自分だけのキャラを作りたい」 AIで美少女を「無限生成」、若きオタクエンジニアの挑戦 (2/4)

[聞き手:片渕陽平, 文:中山明子,ITmedia]

自分だけのキャラクターを所有することに憧れ

 β版のCrypkoは、法人向けのサービスではなく、美少女キャラクターのイラストをトレーディングカードのように収集する一般向けのゲームとしてリリースした。AIが自動生成したキャラクターをゲーム内の「オークション」に出品し、仮想通貨のイーサリアム(ETH)で売買(β版では有料の取引は行われず、テストネット用のETHを使用していた)。手持ちのキャラクターと、他のユーザーから購入したキャラクターを掛け合わせ、新しいキャラクターを生み出していく――という内容だった。

photo β版のCrypkoは、キャラクターをトレーディングカードのように収集するゲームだった

 これは当時人気を集めていたブロックチェーンゲーム「CryptoKitties」から着想を得たという。CryptoKittiesは、猫のイラストを生成し、仮想通貨で売買するゲームだ。生成された猫のデータは、1つ1つがブロックチェーン上に記録され、ユーザーの所有権とキャラクターの独自性が保証される(※)。

(※)猫のイラストは、それぞれがイーサリアムブロックチェーン上で唯一無二のトークンとして、ETH建てで売買される。代替不可能なトークンを作れる規格(ERC-721)を活用し、個々のイラストの独自性を確保している

 Crypkoも同様の技術を採用している。ブロックチェーン上にキャラクターの生成履歴や取引データを記録し、改ざんが極めて難しい形でキャラクターの価値が保証される。このような技術を組み合わせることで、Crypkoは世界に1つのキャラクターを無限に生成できるのだ。朱さんは「ゲームで自分だけのキャラクターを所有することに憧れがあった」と語る。

 多くのソーシャルゲームは運営会社がキャラクターのレアリティー(価値)を設定し、ユーザーは気に入ったキャラクターを所有しようと躍起になる。しかし、結局手に入るキャラクターはあくまで1パターンのデータにすぎず、決して「自分だけのもの」にはならない――そんな歯がゆさを原動力に、Crypkoのアイデアが次第に固まっていったそうだ。

 優れたキャラクターを無限に生成できるということは、乱用すれば希少性がなくなる可能性がある。Crypkoはブロックチェーン技術を活用することで「市場で価格が決まる」「希少性を保証できる」というメリットを生み出した。朱さんはブロックチェーン技術を一から勉強し、試行錯誤しながら実装を進めていったという。

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