米国や韓国では既に始まり、日本でも2020年に商用化予定の次世代通信システム「5G」だが、ドイツでは足踏みが続いているようだ。5Gの利用事業者を決めるオークションで各参加社が譲らず、金額が釣り上がり長期化していると、独経済紙Handelsblattが5月9日(現地時間)に伝えた。
ドイツ政府は3月19日に5G向け周波数のオークションを開始した。オークションには独ドイツテレコム、英Vodafone、スペインのテレフォニカ、独United Internetなどが参加している。5Gの周波数帯域である41ブロックの各ブロックに各社が入札でき、入札から1時間のうちに他社からより高額な入札がなければオークションは終了となる。
しかし同紙によれば各社が譲らず、入札回数は既に300回以上に及んでいるという。各社の入札額は約57億ユーロ(約7030億円)に及ぶ。
ドイツテレコムのティモテウス・ヘッドゲスCEOは7日、同紙に対し「(オークションが終わるまで)もうしばらく時間がかかることもあるだろう」とコメントしている。同紙記者も「オークションがすぐに終わる兆候は全くない」という。
ドイツ政府は20年をめどに5Gの商用化を目指している。同じく20年の商用サービスを目指す日本では、4月にNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天への周波数割り当てを決定した。オークションがさらに長引けば、5Gの開始時期にも影響が及ぶのではないか。
日本では17年に、菅義偉官房長官が電波オークションを導入する可能性に言及したが、結局、携帯キャリア各社の申請を総務省が審査して決定する形式を取った。
先に5Gの商用サービスを開始した韓国では、5G割り当てはオークション形式で行われたが、予定通り18年6月15日からの3日間で完了している。
当時菅官房長官は「電波の効率的な利用に資する方策について引き続き検討する」としていたが、ドイツの件はオークション形式の短所を表す一例となった。
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