「パスワードが無くなれば、パスワードが要因のセキュリティリスクは無くなり、世界はより安全になる」──企業向けセキュリティサービスを手掛けるインターナショナルシステムリサーチ(東京都中野区)のラウル・メンデス社長は、記者会見でそう話した。
同社は5月21日、一度の認証で複数のクラウドサービスにログインできる機能などを提供するサービス「CloudGate UNO」に、指紋認証機能を追加したと発表した。50以上の連携クラウドサービスにパスワードなしでログインできる。
CloudGate UNOはクラウド型のID・パスワード管理サービス。対応するグループウェアやオンラインストレージ、経費精算などのクラウドサービスで、シングルサインオン機能やアクセスコントロール機能などが使える。
新機能として、Webサイト向け生体認証の標準規格「FIDO2」に対応。FIDO2対応の指紋認証用デバイスを接続し、あらかじめ登録作業を済ませておくことで、シングルサインオン用のパスワード入力不要で各種サービスにログインできる。
ビジネスの現場でクラウド活用が進む中、WebサービスのIDやパスワードを複数使う状況に身に覚えがある人も多いはずだ。各サービスでパスワードを変えることが望ましいが、異なるパスワードを複数覚えることは運用上で現実的ではなく、パスワードを使い回したり、メモを作ったりする人が増えている。
従来のパスワードは、複雑化や定期的な更新といった旧態依然の対応がいまだに続いているが、指紋認証のようなパスワードを使わない認証方法を採用すれば、利便性を損なうことなくセキュリティを強化できる。インターナショナルシステムリサーチによれば、スマートフォンなどの普及で指紋認証に対する抵抗感が薄れていることも今回の機能追加を行った背景にあるという。
「高度標的型攻撃(APT攻撃)などのサイバー攻撃を受けてしまう要因は、キーロガーなどを使ってパスワードを盗まれることだった。今は侵入されてから対策を打っている状況だが、そもそもパスワードを盗まれないようにすべきだ」(ラウル・メンデス社長)
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