就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、就活生が企業の内定を辞退する可能性を本人の十分な同意なしに予測し、38社に有償で提供していた――日本経済新聞が8月1日付でそう報じ、ネット上で「合否判定の材料にされたのではないか」などと物議を醸している。リクルートキャリアは同日、「合否判定に活用しないと同意した企業にのみ、サービスを提供した」というコメントを発表した。
学生には、リクナビに登録する際のプライバシーポリシー上で同意を得ていたというが、「表現が分かりにくい」などの指摘があったため、7月末にサービスの提供を一時休止したという。
問題視されているサービスは、リクルートキャリアが2018年3月から提供している「リクナビDMPフォロー」。前年度に応募した学生がリクナビ上で取った行動ログを解析し、アルゴリズムを作成した上で、今年度の応募者の行動ログと照合する仕組みで、学生が選考・内定を辞退する可能性を算出できるとしていた。
これまで同サービスを利用したのは38社で、リクルートキャリアは各社に分析結果を提供したという。
同社は「(内定辞退の可能性を)企業に提示することで、企業は適切なフォローを行うことができる。学生にとっては、企業とのコミュニケーションを取る機会を増やすことができる」と説明。
その上で「学生の応募意思を尊重し、合否の判定には活用しないことを、提供先の企業に確約させていた」「企業に提供したデータは、リクナビの閲覧データを基に算出したスコアであり、学生の能力を推し量るものではない」と釈明している。
また、学生に対しては、プライバシーポリシー上で「(リクナビ上での)行動履歴などを、採用活動補助のために利用企業などへ提供する場合がある」と説明し、同意を得ていたと主張。ただ、個人情報保護委員会などから「プライバシーポリシーの表現が学生に伝わりにくい」などと指摘を受けたという。
これを受け、同社は7月31日にサービスの提供をいったん中止した。「学生の個人情報がどのように企業に提供されていくのか、より分かりやすい表現や説明方法を検討し終えるまで、サービスを一時的に休止する」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR