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メルカリ、19年6月期は最終赤字137億円 今後もメルペイなどに積極投資 山田会長「この1年が勝負」

» 2019年08月08日 16時37分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 メルカリが8月8日に発表した2019年6月期(18年7月〜19年6月)通期連結決算は、売上高が前期比44.5%増の516億8300万円、営業損益が121億4900万円の赤字(前期は44億2200万円の赤字)、純損益が137億6400万円の赤字(前期は70億4100万円の赤字)と増収減益だった。国内でのフリマアプリ事業は黒字だったが、AI人材の採用、米国事業、モバイル決済サービス「メルペイ」などへの投資がかさんだことが影響した。

photo 決算会見に登壇したメルカリ経営陣

 国内でのメルカリ事業の年間GMV(流通総額)は前年比41%増の4900億円、MAU(月間アクティブユーザー数)は26%増の1350万人に拡大。従来は女性ユーザーが多かったが、男性ユーザーも増え、家電やスポーツ用品などの出品も進んだ。

 米国でのメルカリ事業の年間GMVは70%増の3億6000万ドル(約381億円)で、MAUは200万人を超えた。2月に本格化したメルペイ事業は、累計登録者数が6月に200万人を突破した。

 メルカリの山田進太郎会長は、決算会見で「この1年間で、東京オフィスに40カ国から優秀な人材を招き入れることができた他、画像認識を活用した出品・検索機能を強化するなど、テクノロジーへの投資に注力してきた。英国からは撤退し、米国事業に専念することも決めた」と振り返った。

山田会長「この1年が勝負」

 20年6月期は、競合のヤフーがメルカリに対抗して「PayPayフリマ」を19年秋ごろ始める他、キャッシュレス決済市場でも顧客獲得競争の激化が見込まれる。

 こうした環境下で競争力を保つため、今後は国内事業では、AIを活用した出品技術の開発・実装などに注力する。米国事業では、限界利益率を改善しながら認知度向上に努め、月間GMV1億ドル(約106億円)を目指す。メルペイ事業では、他社と組んで加盟店開拓などを行う「OPENNESS戦略」のもと、さらなる普及に努める。

 メルカリはこの他、8月30日付でJリーグ・鹿島アントラーズの経営権を取得することが決まっている。メルカリの小泉文明社長はこの件に触れ、「テクノロジーの活用を通じ、メルカリ・アントラーズ・地域社会の三位一体でビジネスを行い、チームの収益性を強化したい。この事業で得た資金でチームを強化し、常勝軍団にしていきたい」と語った。

 20年6月期の通期業績予想は「投資フェーズにあり、損失額が拡大する可能性がある」として非公開だが、山田会長は「これから1年間は勝負の年。グロース(成長)を優先した投資を進め、強固な基盤を構築できる1年にする」と決意を語った。

photo メルカリの19年6月期 通期連結決算

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