生まれて初めて、「技術本」というものを書いた。とはいっても、書店に並ぶ商業出版の本ではなく、自身で執筆・製本し販売する「同人誌」だ。
記者は日々、IT系のニュースを書いている身ではあるが、基本的には人の話を伝える立場であって、記者自身の内側にある知見を発信しているわけではない。
一方、最近は技術系の同人誌即売会が盛り上がりを見せている。そうした即売会に一般参加者する中で、「自分も何か技術系のことを本にまとめてみたい」という思いを持ち始めていた。
とはいっても、記者は本を執筆しているエンジニアの方々のように、トレンドの技術を理解して普段から手を動かすようなことはしていない。
「そんな自分でも、本を書けるのだろうか」──そのように迷う中、あるイベントとの出合いが本を書き始めるきっかけとなった。
以下は、そんな記者が実際に本を書いてイベントで頒布するまでの体験記だ。記者は、本を執筆したことで何を得たのか。
日本では「コミックマーケット」を中心に同人文化が盛んだ。コミケというと漫画やアニメ作品の二次創作物がメジャーではあるが、それ以外にも一次創作の漫画や小説、ゲーム、ジャンルを問わない評論・解説本など、実に多様な同人誌・同人文化がここで育まれてきた。
そんな同人文化の中でも、近年は「技術同人」が一部で盛り上がりを見せている。Androidアプリ開発などの技術解説同人誌を制作しているサークル「TechBooster」と出版社の達人出版会が2016年に始めた、技術書オンリーの同人イベント「技術書典」がその火付け役だ。同イベントは、開催のたびに会場に長蛇の列ができるほど人気を博している。前回の「技術書典6」は来場者数が1万人を超えたという。
記者も同イベントには一般参加者として通っており、毎回各サークルの独創的な着眼点の本を購入している。気になったことをその場で著者に直接聞けるという環境も貴重だ。
そんなムーブメントを肌で感じていたので、イベントに通うたび、「記者自身も何か書けないだろうか」という思いが積もっていった。
今年4月の「技術書典6」が終わって間もなく、あるイベントの開催告知を目にした。「技術同人誌博覧会」(技書博)という、「これまで技術書を書いたことがない方も勇気を出して、初めての本を書いてほしい」がテーマの同人誌即売会だ。
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