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» 2019年08月14日 07時00分 公開

「遊びの先に学びがある」 ザクのプログラミング教材が生まれた理由

バンダイが、モビルスーツ開発を体感しながらロボティクスの基礎や、プログラミングの概念を学べるSTEM教材を開発。誕生秘話を聞いた。

[村上万純,ITmedia]

 アニメ「機動戦士ガンダム」の世界観を楽しみながらプログラミングを学べる教材「ZEONIC TECHNICS」(ジオニック テクニクス)を、バンダイが開発した。2018年10月の発表当初からSNSなどで話題になり、2019年6月に開催された「東京おもちゃショー2019」でも、展示ブースには人だかりができていた。

「ZEONIC TECHNICS」。ハンガーとミニフィギュアは別売り予定

 ZEONIC TECHNICSは、作中に登場するモビルスーツ「ザクII」をモチーフにしたホビーロボットを組み立てながら、ロボティクスの基礎や、プログラミングの概念を学べるというもの。ジオン軍のモビルスーツを開発、製造していたジオニック社公認の「MS(モビルスーツ)講習キット」という設定で、バンダイの原田真史氏(新規事業室 デピュティゼネラルマネージャー)は、「ガンダムの世界に技術者の視点でダイブできる」と説明する。

バンダイの原田真史氏(新規事業室 デピュティゼネラルマネージャー)。8月18日まで、応募者の中から6人に「ZEONIC TECHNICS」を無償給付するTwitterキャンペーンを実施中

 対象は中学生以上。主人公機であるガンダムをメインに据える選択肢もあるように感じたが、企画当初から「ザクでいくと決めていた」(原田氏)という。

 ガンダム世代の大人たちの遊び心もくすぐる、一風変わったSTEM教材は、どのように生まれたのか。

「最初からザクと決めていた」

 2020年に小中学校でプログラミング教育が必修化されることもあり、原田氏がいる新規事業室では、STEM教材とホビーロボットの組み合わせて何か新しい価値を生み出せないかと考えていたという。

 「ホビーロボットでモビルスーツを再現したらどうなるのだろう」と考え、原田氏がザクのイラストを近藤科学に持ち込んだのが18年6月ごろ。近藤科学は、ホビーロボットの「KHRシリーズ」や教育用ロボットキット「KXRシリーズ」で知られる会社だ。持ち込んだイラストが、現状に近いホビーロボットベースのデザインだったこともあり、「この方向性なら可能かもしれない」(近藤科学)と、二足歩行するザクのロボット開発を引き受けてもらえたという。

 モビルスーツらしい動きとデザインを実現するロボットの設計はブルーメイクラボが行い、STEM教材としてのカリキュラム開発は、科学技術分野の教育や人材育成などのコンサルティングを手掛けるリバネスが担当した。プロジェクトメンバーの多くがガンダム世代で、チャレンジングな商品の開発に情熱を持って取り組んでいるそうだ。

 ところで、なぜザクなのか。原田氏は「ザクは、ガンダムの世界で多くのバリエーションを誇る機体。カスタマイズ性に幅広いポテンシャルがあり、みんなの創造力を受け止められる」と語る。近藤科学が発売するロボット開発パーツも使用可能で、東京おもちゃショーでは作中に登場しない多脚タイプなども展示されていた。

「ガンダムの世界にダイブする」

 教材になるザクの全高は約30センチで、全身17個のサーボモーターや、ジャイロセンサー、対物(距離)センサーを搭載。専用のスマートフォンアプリ(iOS/Android)でプログラミングすることで、両腕や両脚、ザクの象徴ともいえる「モノアイ」などを動かせる。

 ザクのキットを組み立てるための教本では、ガンダムの世界観を表現しつつ、赤外線センサーなど現実にある技術も丁寧に説明している。

 さらに、ユーザーがジオニック社の技術者としてガンダムの世界に浸れるように、専用台座やトレーラー型台座の他、ジオニック社の整備員やジオン軍のパイロットをモチーフにしたミニフィギュアをオプションパーツとして用意した。ザクの近くに整備員やパイロットを設置すると、「一体、モビルスーツ1機を整備するのに何人のメカニックが関わっているのだろう」と思わず想像してしまう。

ジオニック社の整備員やジオン軍のパイロットをモチーフにしたミニフィギュアをオプションパーツとして用意

 「遊びの先に学びがある」と原田氏。遊びをベースに置くことで、他社の教材との差別化を図る考えだ。

 ザクは作中で最初に量産されたモビルスーツ。10月に予約を開始するZEONIC TECHNICSも、まさに量産を始めるところだ。

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