一方のBoxは、フォルダごとに「この人はアップロードと編集が可能」「この人は編集・削除ができない」「この人は閲覧のみ可能」などと管理者が細かく権限を設定できる。こうした点に使い勝手の良さを感じ、関さんはGoogleドライブと併用する形で導入を決めた。
また、ファイルに「電子すかし」を入れる機能があることも、関さんがBoxを気に入った理由の1つだという。ユーザーが画像や文書をプレビュー表示した際に、閲覧している人のメールアドレス、IPアドレス、アクセス時刻といった文字列をオーバーレイ表示する仕組みで、第三者による不正流用を防ぐ効果がある。
「私たちが扱っているのは、1枚でも流出させてはいけないポケモン画像ばかり。勝手に使われると大変な損害になってしまいます。そこで、他社に画像を共有する際は、特定のフォルダに入れると、自動的に透かしが入るように設定し、情報漏えいを未然に防いでいます」
では、Boxとの相性の良さをここまで強調するポケモン社は、なぜGoogleドライブの利用をやめないのだろうか。
関さんによると、その理由は(1)Googleドライブの方が「Photoshop」など米Adobe Systems製ツールで制作した画像がきれいに表示されること、(2)Boxは、1度にアップロードできるファイルサイズの上限が15GBであること(Googleドライブは1日750GBまで)、(3)Googleドライブを使っている取引先が多いこと――など。
関さんは「Googleドライブを悪く言いたいわけではありません」「Boxにも頑張ってほしいと思う点はありますよ」と笑う。
「動画などの大きなファイルをやりとりする際は、Googleドライブが適している場合もあります。普段はGoogleドライブを使っている取引先にBoxでファイルを送り、無理やりBoxを使わせてしまうと、他社のシャドーITを増やすなど悪影響を与えてしまいます。今は業務内容に応じて、2つのツールを適材適所で使い分けています」(関さん)
両者を併用することに対して、経営陣からは「なぜ似たようなサービスを2つ使っているんだ。コストが二重にかかる」との指摘も受けたというが、関さんらは機能面の違いを説明し、当面は使い続けることで納得してもらったという。
ただ、サードパーティーのAI技術を活用して、Boxにアップロードしたファイルの分析や分類ができるサービス「Box Custom Skills」に期待していることなどから、ゆくゆくはBoxへの一本化を検討しているという。
関さんは「画像をアップロードするだけで、ポケモンの名前を自動認識して『これはピカチュウ』『これはイーブイ』とタグを自動付与する仕組みができれば面白いです。まだ使いこなせていない部分も多いので、Box向けのAPIなどもできる限り活用し、コンテンツの管理をスムーズにしていきたいです」と今後の展望を語った。
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