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テクノロジーで「シカから森を守る」 柵にセンサー搭載、AIで分析 KDDIらが実証実験

» 2019年08月21日 13時50分 公開
[ITmedia]

 KDDI、KDDI総合研究所、常葉大学、国土緑化推進機構は8月21日、AI、IoT、クラウドの技術を活用し、鳥獣による森林への被害を軽減する実証実験を行うと発表した。第1弾として8月中に、シカによる食害が増加している静岡県内の植林地域にセンサーを設置し、人による見回りを効率化する取り組みを始める。

photo 実証実験のイメージ

 対象地域には現在、シカの侵入を防ぐための柵を設置しているものの、シカの衝突や倒木などによって破損するケースが多いという。柵が壊れるとシカが侵入しやすくなるため、現在はスタッフが定期的に見回りをし、修繕などを行っている状況だとしている。

 カメラによる遠隔監視も行っているが、機器や通信の費用などがネックとなり、大規模な導入には至っていないという。実験によって、見回りの負担や遠隔監視のコストの軽減を目指すとしている。

 実験では、シカの侵入を防ぐ柵に、加速度センサーと無線通信モジュールを搭載した振動検知センサーを装着する。両センサーで柵の揺れを検知し、測定結果をクラウド上に集めた上で、AIによってその原因(動物の衝突や風など)を推定。必要に応じてアラートを発するなどし、スタッフが柵の破損などをリアルタイムで認識できるようにする。

 対象地域はモバイル通信のエリア外であるため、実験ではセンサーネットワークを構築し、モバイル通信が可能な場所に置いたゲートウェイまで、Wi-Fiを使ってデータを送信する。ゲートウェイを経由したデータは、LTE通信によってクラウドサーバに届ける。

photo 実証実験の仕組み

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