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「みんなAIを難しく考えすぎ」「本当に必要か考えて」 AIに振り回される会社の共通点これからのAIの話をしよう(AI対談編)(4/4 ページ)

» 2019年08月23日 07時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]
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メルカリは「価値交換の在り方を変える場所」

――メルカリは、日本企業の中でもAIを自社サービスにうまく取り入れることに成功していると思っています。AI導入の勘所というか、成功のためのセンターピン(本質的なポイント)を抑えているのではないかと思うのですが。

濱田:うーん、日本ではうまくいっていると思いますが、そこで満足しているわけではありません。僕らは世界で成功したいと思っています。そのためにちゃんとサービスを作っていきたいですし、正直まだまだ課題は多いです。周りからうまくいっていると見えているのは何でしょうね。中は結構カオスですよ(笑)。まだ売ることは空気じゃないし、やれることたくさんあります。

マスクド:AIの使い方がうまいなとは思っています。これはAI、これは仕組みで解決という当てはめ方がうまいのではないでしょうか。そのバランス力がプロダクト全体の評価につながっているんだと思います。

濱田:AIのモデルは、かなり自前で作り込んでいますからね。

マスクド:大企業からの退職エントリーを書いたエンジニアが、新天地で頑張っている証拠ですね。

濱田:Airbnbは物件を持たない世界最大の宿泊施設、Uberはクルマを持たない世界最大のタクシー企業、WeWorkは物件を持たないテナントオーナー、孫さんが出資しているOYOは物件を所有しないホテルです。われわれは何かというと、世界中の使っていないモノをマッチングさせるマーケットプレイスだと思うんです。いずれのサービスも最重要課題はマッチング精度を上げること。そのためにはAIなどのテクノロジーが重要になってきます。

マスクド:欲しいものがすぐ見つかり、売りたいものがすぐ売れる――マッチング精度の高さが、サービスを使い続ける要因になりますね。「すぐ」という速さは、分かりやすいメリットですから。

濱田:メルカリはモノを売り買いする場所だと思われがちなんですが、僕らはUberやAirbnbとあまり変わらないと思っていて。テクノロジーの力を使って、価値交換の在り方を変えている企業だと思っています。

マスクド:個々人が持つ物にそれぞれ異なる価値があり、交換し合うことでよりその価値が高まる思います。それを自由にできるのがメルカリですよ。価値観がアップデートされていく面白さがありますね。

著者プロフィール:松本健太郎

株式会社デコム R&D部門マネージャー。 セイバーメトリクスなどのスポーツ分析は評判が高く、NHKに出演した経験もある。他にも政治、経済、文化などさまざまなデータをデジタル化し、分析・予測することを得意とする。 本業はインサイトを発見するためのデータアナリティクス手法を開発すること。

著者連絡先はこちら→kentaro.matsumoto@decom.org


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