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ゲーム世界を崩壊に追い込むチートbot 1日2億件の不正ログインの実態迷惑bot事件簿(4/5 ページ)

» 2019年09月03日 07時00分 公開
[中西一博ITmedia]

 ゲーム会社は、アバターがゲーム内でありえない座標を取ったり、極端な速度で移動をするなどの異常なふるまいを判定する仕組みや、ゲーム内での特定の行動の繰り返し処理の上限値などをサーバ側のプログラムに設けるといったシステム的な対策の他、「人の目で見て」異常なふるまいを見つけているという。

 どのゲーム会社に聞いても、ゲーム管理者がゲームフィールド内で“現地”に赴いてbotが操るアバターを視認したり、ゲームサーバのログをチート対策専門の部隊のメンバーが目で見て分析したりするなど、地道な戦いを続けているというから頭が下がる思いだ。botに荒らされてユーザーが大量に離脱したゲームが、徹底した不正対策を行ったことで、ユーザー数がV字回復した例もあるというから、不正への対策がゲームの生死を分ける鍵を握っていることが分かる。

 多くのゲームでは、おかしなふるまいをするbotやチート行為が疑われるプレイヤーを運営(ゲームマスター)に通報する仕組みが備わっている。不正ログイン対策として、メール通知と組み合わせた二段階認証や、専用デバイスを用いた二要素認証をログイン時に利用できるゲームも出てきている。

 一方、スマホアプリのゲームでは、比較的リアルタイム性が求められないゲームで、HTTP/HTTPSプロトコルをベースとする、Web APIが通信に用いられることが多い。これらのゲームの不正対策では、Akamai Bot Manager Premier(BMP)などの汎用的なbot検知ソリューションが、悪性botアクセス検知に効果を発揮できる可能性がある。

 アカマイでは、ゲーム会社を支援して検証や対策を進めており、スマホアプリのゲームを狙う悪性botの可視化に成功したケースが出てきている。ゲーム特有の課題など解決すべき点もまだ多々あるが、今後の検証と技術開発が期待されている分野だと考えている。

 他にも、Webブラウザベースのオンラインゲームはもちろん、ゲーム専用機のオンラインゲームと連動してプレイヤーをサポートするスマホの「コンパニオンアプリ」はHTTP/HTTPSをベースとする通信手順を用いることが多い。さらに、マルチプラットフォーム対応のゲームの中には、ログイン時のみWeb APIでユーザー認証してゲームをスタートする作りのものもあるので、BMPなどのWebプロトコルベースのbot検知ソリューションが応用できる範囲は意外と広いのかもしれない。

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