チートやbotに荒らされたオンラインゲームは、ゲーム性が著しく損なわれ、ユーザーの離脱が激しくなる。また、いったんそういったうわさが立つと新規ユーザーの獲得も難しくなるので、ゲーム会社にとって不正対策は優先度の高い課題だ。
一方で、チートやbotが横行する背景には、代行業者やRMT業者に金銭を払ってでもゲーム内で優位に立ちたいというプレイヤー側の心理の隙がある。現に筆者も、代行業者からリセマラされたスマホゲームのアカウントを購入した知人の経験を昔聞いたことがある。知人曰く「ゲームを勧めてくれた人のレベルに追い付くために利用した。他人には勧めないけれど」と、すこしバツが悪そうに教えてくれた。
ゲーム会社のさまざまな不正対策の努力にもかかわらず、ゲーム業界が魅力的な標的として、不正を行う業者や犯罪者から自動ロックオンされ続ける状況は、残念ながらしばらく収まりそうにない。オンラインゲームの世界そのものを崩壊させる真のラスボスは、どこにでもいそうなプレイヤーの、こうした一見無邪気にも見える心の隅に、その萌芽が潜んでいるのではないだろうか。
1992年、日立情報ネットワークにシステムエンジニアとして入社。日立グループを統合するネットワークで各種のインターネットセキュリティサービス、モバイルアクセスサービスなどを開発し、当時黎明期にあった企業のサイバーセキュリティ運用のひな型を築いた。その後2000年にシスコシステムズに入社。セキュリティスペシャリストとしてシステムエンジニア、プロダクトマネジャー、マーケティングを担当し、新技術を元IT部門の視点を生かして分かりやすく解説するソリューション提案でネットワークセキュリティの業界を15年間にわたりリードした。2015年1月からはアカマイ・テクノロジーズ合同会社でプロダクト・ マーケティング・マネジャーとして、同社のクラウドセキュリティソリューションを担当。TVニュースや記事、セミナーなどで最新のサイバー攻撃動向を解説している。
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