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セブン銀行とNEC、顔認証で本人確認できる新型ATM発表 スマホ決済が普及しても「ATMはオワコンではない」

» 2019年09月12日 16時53分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 セブン銀行とNECは9月12日、顔認証技術に対応したカメラや、本人確認書類を読み取れるスキャナーなどを搭載した新型ATMを発表した。導入時は非対応だが、将来的にはカメラで撮影した利用者の顔と、スキャナーで読み取った運転免許証などの顔写真を照合した本人確認手続きが可能になるという。

 2001年に登場した初代のセブン銀行ATMから数えると、新型ATMは4代目に当たる。セブン銀行は9月から順次、既存の3代目ATMと入れ替える。20年夏までに都内、24年度までには全国での入れ替えを終える計画だ。

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QRコードリーダーやBluetooth機能も搭載

 新型ATMはカメラとスキャナーの他、QRコードリーダーやBluetooth機能も搭載する。ゆくゆくは、スマートフォン決済サービスの残高をチャージしたり、Bluetooth接続したスマホ上でクーポンや利用明細を確認したり――といった用途も想定している。

 使い勝手も改善しており、画面には上下一体型のデュアルディスプレイを採用し、取引情報などの視認性を高めている。画面の周囲には曲面バイザーを配置し、周囲からのぞき見されにくい仕様にした。カップホルダー、つえ置き、買い物袋を引っ掛けられるフックなどを備える他、車いす利用者なども操作しやすいよう、インターフォンの位置を低くしている。

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 AIやIoTの技術を活用し、部品の故障を検知・予測したり、不審な取引を検知してオペレーターにアラートを発したりすることも可能という。

 顔認証による入出金など各種サービスの実用化に向け、現在は他の銀行や決済事業者との交渉を進めている段階。「技術的には今すぐ始められる。他社と合意が取れた機能から実装する。新型ATMが普及した段階で速やかにサービスインするために、先にATMの入れ替えを進めている」(広報担当者)という。

 実用化に向けた取り組みの第1弾として、10月下旬から、新型ATMで利用者の口座開設を受け付ける実証実験を行う予定。実験では、利用者がスマホ上の入力画面に必要事項を入力すると、その情報を基にQRコードを出力。QRコードをATMで読み取った上で、カメラとスキャナーを活用して本人確認した利用者に対し、口座を開設するという。

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ATMはオワコンではない

 セブン銀行の舟竹泰昭社長は、記者会見で「デジタル化が進んだ現代は、『ATMはオワコン』『公衆電話のように(使われなく)なるのでは』といわれるようになった。だがATMは進化する」と強調。

 「(金融取引が)PCやスマホで完結する時代になったが、便利の裏には(セキュリティなどの)リスクもある。新型ATMは、取引の裏側にある安心感を感じたい人や、デジタル化やキャッシュレス化に追い付けない高齢者などにも使ってもらいたい」と語った。

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