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ボケと笑いと学びに包まれた「セキュリティのクイズ大会」 大阪から全国へ広げるコミュニティーの輪(2/3 ページ)

» 2019年10月27日 09時00分 公開
[高橋睦美ITmedia]

ボケあり、学びありの楽しい時間で距離を縮める機会に

 ○×クイズならば、周りの様子を見て付いていくだけでも何となく生き残ることができるが、セミファイナルは用意されたパネルに正解を記していく記述式。5問正解した回答者から早抜けしていく方式で、うろ覚えではなかなか勝ち抜けられない。

photo 8人で争われたセミファイナルは記述式。5問正解で3人早抜けのルールだ

 「IPAの文書で、WPA2-PSKで用いられる文字数は最低何文字とされているか?」という選択式の設問には、回答者、会場の聴衆とも悩んだようだ。正解は「20文字」と発表されると、一斉に「おお」「知らなかった……」といった声が漏れた。

 このセミファイナルで実力を発揮したのが、昨年は予選で涙をのんだゆまのさん。「仮想通貨で有効なトランザクションと見なされない仕組みは?」に「マルチシグ」とさくっと回答するなど、次々正答を続けて一抜けを決めた。

photo 思わぬタイミングでG20大阪サミットに関する問題が突っ込まれ、苦戦するシーンも

 問題によっては、頭を悩ませるセミファイナル出場者をよそに、正答を知る観衆サイドが激しく「エアボタン」を連打したり(要は、膝に手をバシバシ打ち付けるだけ)、手を上げたりという具合に盛り上がっていた。さらに正答が分からない回答者には、「ここでボケて」というプレッシャーまで押し寄せていた。

 これに見事応え、「メール版オレオレ詐欺であるBECを英語で正確に書くと?」という質問に「British Economy Company」(正解はBusiness E-mail Compromise)、そして「平成30年12月21日にレポートされた『○○○10』とは?」(正解はAPT10)という質問に「ガスター10」と見事なボケで答えたなすかさんには、個人的に敢闘賞を贈呈したい。

photo いざ、決勝戦!

 最終決戦は、セミファイナルの上位3人と敗者復活戦を勝ち抜いた1人による、「アタック25」方式の早押しクイズ。いきなり「IQYファイル経由で感染するマルウェアは何?」という設問に誰も答えられず、先が思いやられたが、ここでもゆまのさんが、決済サービスでの不正アクセス事件などを踏まえた「多要素認証とは何か」といった問題に素早く回答し続けて独走。結局焦点は2位争い……というか、他の3人が1枚でもパネルを確保できるかどうかに移った。最終的には用意してきた問題がなくなり、慌てて自由の女神に関するクイズを出すことで決着し、上位入賞者には、さまざまな家電やガンプラ、Nintendo Switchといった豪華賞品が贈られた。

photo 見事優勝を飾ったゆまの氏(写真左)

 ゆまのさんは「昨年は『こんなん解けるか!』という問題もあって、もっとできたはずと思っていたので、純粋にリベンジが果たせたのがうれしい」とコメント。実は、昨年の問題の傾向を踏まえ、ウルトラクイズに習って自由の女神に関する内容もある程度チェックしていたそうだ。来年の参加者に向け「普段からTwitterなどで、セキュリティに関する大きめのニュースを見ておいたり、政府系の動向をチェックしておくといいのでは」とアドバイスした。

 また、ある法律事務所から参加し、セミファイナルに勝ち残った女性は「セキュリティって難しそうなイメージがあったけれど、来てみたら面白かった。セキュリティエンジニアの人たちとの距離が縮まったように思う」と笑顔で話していた。

 中には複数の大学生の姿もあった。「もともとハッカーが主人公の漫画を読んでかっこいいなと憧れ、大学でサイバーセキュリティについて学んでいる。問題の答えを知って、知識を取り入れることで、さらに勉強のモチベーションを上げることができて楽しかった」「技術面だけではない、いろんな側面もあるんだなと感じた。遊び心も合って、楽しい時間を過ごせた」と振り返っていた。

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