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» 2019年11月27日 21時15分 公開

住友林業が研修にVRを採用 シンプルな実写の360度動画を使うメリットは? (1/2)

住友林業が若手向けの研修に360度のVR動画を採用する。これまで行っていた現場研修をVRで行うことで、移動時間やコストの削減と学習効率の向上を狙う。その効果は……?

[谷井将人,ITmedia]

 住友林業は11月27日、360度の方向を見渡せるVR動画を活用した若手向けの研修を導入すると発表した。これまで実際の建設現場に足を運んで行っていた研修をVR上で学べるようにし、移動時間やコストの削減、学習効率の向上を目指す。

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 住友林業の若手設計者や工事担当者を対象に、グリーと共同開発したVRコンテンツを使った社員教育プログラムを始める。建造物の分析や工事の見学、現場の危険な場所の発見など、建設現場で学ぶべき内容をVR動画で体験してもらい、業務への理解を促すという。

 これまで住友林業では、入社1〜3年目の若手社員を対象に実際の建設現場で研修を行っていた。しかし、現場までのバス移動や研修の準備に4時間ほど掛かり、肝心の研修時間も削られていた。移動による体力の消耗で、社員の集中力も下がっていたという。建設工事は常に進行しているため、見学に適した現場の選定に時間がかかるという問題もあった。

 そこでVR動画を研修を採用したところ、移動に費やしていた時間を別の研修に充てられるようになった他、受講者からは「研修が濃い」「内容に集中できた」などの声が上がるようになったという。住友林業の試算では年間250〜300万円程度の研修コスト(移動費など)が削減ができる見込みだ。

 VR動画を使った研修は、20年度から本格的に運用を始める。グループ会社の社員や営業職員にも同様の研修を提供する予定で、VRだけでなくARを活用した研修も検討しているという。

危ない建設現場の“間違い探し” 屋根から転げ落ちる体験も

 研修はグループワーク形式で行う。例えば「安全管理研修」では、受講者それぞれにHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着してもらい、建設現場のVR動画を30秒程度見せて間違い探しをさせる。映像の中には「玄関前に置くべき水の入ったバケツがない」「足場に手すりがない」といった、建設業者であれば不自然に感じる状況が再現されている。

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 VR動画を見た後は、グループ内でおかしいと思った点について議論。その後、答え合わせのVR動画を見せながら講師が解説を行うという流れを繰り返す。

 記者もVR動画を体験してみた。玄関前や屋根の上など、建設現場の映像を360度見回して探してみたが、素人には違和感がある場所を見つけられなかった。

photo 住友林業の小間博明さん(人材開発部)

 VR動画を使うメリットとして、実際の現場では難しい体験が手軽に行えることが挙げられる。例えば足を踏み外して屋根から転げ落ちるシーンや、頭上から建材が落ちてくるシーンなどの再現だ。危険な状況を疑似体験することで、危機感を実感できる。

 他にも建設現場の状況を見てフェンスや足場、トイレなどの仮設物の設置方法を考える「仮設計画研修」や、敷地内や周辺を分析して家の設計を考える「建設計画研修」に向けたVR動画のコンテンツも用意している。

 住友林業の小間博明さん(人材開発部)はVRを活用した安全管理研修の意義について「建築現場では事故や災害があると大変残念なことになる。危険な箇所や行為があれば大きな事故につながってしまう。VRでの体験が現場での指導や教育に役立てられればと思う」と話した。

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