住友林業が研修で使うVR動画を制作したグリーは、2018年からVRを使った企業向け研修コンテンツを提供してきた。これまでは「セクハラ・パワハラ体験VR」のような業種を限定しない内容のコンテンツが主だったが、今回は1社に合わせて専用のコンテンツを制作した初めての事例だったという。
住友林業によれば、建設業界で研修にVRを活用する事例が増えつつあり、その多くは3DCGで再現されたVR空間で体験者が歩き回ったり、ハンドコントローラーで操作するといったものが多いという。360度動画に比べ、より没入感の高い体験が可能だ。
しかし、グリーはあえて360度のVR動画を使った研修コンテンツに力を入れている。同社があえてVR動画にこだわる理由は、実写ならではのリアリティー、機材の調達しやすさ、制作コストの低さにある。
現実の風景を撮影した360度のVR動画は、3DCGで再現されたコンテンツに比べて風景の細かな描写が短時間でできる上、ハンドコントローラーが付属しない安価なHMDでも体験できる。受講者全員分のHMDを調達する必要がある研修のような用途ではメリットとなる。
グリーの石田正浩さん(XR事業開発部)は「3DCGコンテンツの作成にはどうしても時間とコストがかかる。VRを使った研修のサービスはまだ始まったばかりの段階であり、提供価格が高いと普及させにくくなる」と説明する。
同社はVRを使った研修コンテンツ制作の事業がまだ手探り状態で、今後の見通しは立っていないとしている一社に向けた専用コンテンツ制作にはそれぞれの業界への深い理解も必要となるため、今後積極的に推進していくかどうかは検討中だという。
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