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“自動押印ロボ”を見てきた とてもゆっくりだった(動画あり)2019国際ロボット展

» 2019年12月18日 18時15分 公開
[安田晴香ITmedia]

 「ロボットにハンコを押させるくらいなら、ハンコ文化をなくすべきだ」「そもそも必要なのか?」――と、ネットで議論を呼んだ“自動押印ロボ”。その実物が「2019国際ロボット展」(12月18日〜12月21日、東京ビッグサイト)で展示されていたため、見に行ってみた。押印のスピードはとてもゆっくりだった。

photo ロボットが押印
photo ロボットが書面をスキャン
photo ロボットがページをめくる

 このロボットは、デンソーウェーブのロボットアーム「COBOTTA」2台とカメラを組み合わせたもの。COBOTTAは、アームの先端に装着した社印を押す作業と、書類のページをめくる作業を担う。ページをめくるたびに、カメラで書類を撮影し、押印欄を識別する仕組み。デンソーウェーブ、日立キャピタル、日立システムズが共同で、2020年3月に月額制で提供を始める予定だ。

 筆者がブースを取材したところ、すでに人だかりができており、ロボットが書類をめくってハンコを押す様子を来場者が一様に撮影していた。人だかりの間から顔を出し、実際の動きを確認すると、書類1枚にハンコを押す作業に数分間を要していた。

 取材前、ロボットがスピーディーにハンコを押すことを想定していたため、そのゆっくりさはやや意外だった。事前の報道では触れられていなかったが、実際はロボットが押印する前に、ハンコを装着したロボットアームで朱肉に触れる工程も存在した。そのため、押印までの時間を長く感じたのかもしれない。

 ロボットが書類を押さえ、めくり、スキャンし、ハンコで朱肉に触れ、書類の上に移動し、押印する――。筆者の前で、そんなプロセスがゆっくりと繰り返された。

 「結局、人がやった方が早いのではないか」。一連の流れを目の当たりにして、筆者は率直にそう感じた。

 その思いを日立キャピタルの担当者にぶつけたところ、「速度の調整は物理的には可能ですが、紙を扱う繊細な作業のため今の速度で運用しています」という回答があった。

 ネットで疑問が出ていた「目上の人にお辞儀をしているような、斜め向きのハンコは押せるのか」という点についても聞いたところ、「真っすぐ垂直に押すことを前提としています」(担当者)とのことだった。

 また、ハンコの大きさが朱肉を上回った場合は、自動押印はできないという。

 筆者が取材を終えた後も、大勢の来場者が見守る中で、ロボットは黙々と書類をめくり、押印を続けていた。ペーパーレス化が進んでいない自治体や金融機関をターゲットにしているとのことだが、現場で活躍する日は来るのか。

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