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睡眠不足を解消するヘッドギア「SmartSleep」を試して分かったこと体当たりッ!スマート家電事始め(1/2 ページ)

» 2020年01月23日 12時03分 公開
[山本敦ITmedia]

 フィリップスが、睡眠支援ウェアラブルデバイス「SmartSleep」を日本で発売した。2018年秋に欧州のエレクトロニクスショー「IFA」を取材した際に見つけ、日本での発売を心待ちにしていたデバイスだ。ヘッドギアのような外観は大げさに見えるが、実際の使い勝手や効果はどうか。

「SmartSleep」。頭に装着するヘッドギアのようなデザイン。本体の重さは約110グラム。価格は4万2380円(税別)

 SmartSleepは、フィリップスが日本に初めて投入するSleepTech(スリープテック)デバイスだ。欧米では眠りを支援するさまざまな技術がスリープテックと呼ばれ、脚光を浴びている。筆者が取材に行く海外のエレクトロニクスショーでも、ここ数年はスリープテック関連の製品が目に見えて増えている。

 OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本人の平均睡眠時間は米国や中国、欧州各国に比べてかなり短いという。19年の調査では500分を超える国が多かったのに対し、日本は442分と最短の水準だった。睡眠不足は生産性の低下や体調不良につながる。日本人にこそスリープテックが必要ではないだろうか。

眠りの質を左右する「深睡眠」を特殊な音で持続させる

 SmartSleepは、ラグビーの選手が試合で身に付けるヘッドギアに似ている。重さ約110グラムの本体には眠りの状態を検知するためのセンサーやバッテリーを内蔵。スマートフォン用アプリ「SleepMapper」にデータを転送し、“眠りの質”を可視化する。

 それだけではない。SmartSleepには睡眠の質を積極的に改善する機能が搭載されている。睡眠には浅いレム睡眠と深いノンレム睡眠があることは良く知られているが、脳や交感神経の活動が休息状態に入るノンレム睡眠の中でも最も深い段階とされるのが「Deep Sleep」(深睡眠)という状態だ。SmartSleepは、センサーからの情報と独自アルゴリズムで脳波の状態を計測し、深睡眠に入ったタイミングでヘッドギアのスピーカー(=イヤフォン)から微弱なオーディオトーンを流す。音の周波数は500〜2000Hz。すると深睡眠が長続きするという。これがSmartSleepに投入されたフィリップスの核心技術だ。

使用中。深睡眠に入ったタイミングでヘッドギアから微弱なオーディオトーンを流し、深睡眠を長続きさせるという

 筆者の普段の睡眠時間は6時間前後。一般的に見て睡眠不足であると考えられるため、SmartSleepの効果を得られやすそうだ。最近は年齢のせいか、日中の活力が低下している自覚がある。ということで、仕事が一段落した2019年の年末から一週間ほどSmartSleepを試用した。

SmartSleepの装着方法と洗い方

 SmartSleepの本体(ヘッドギア)を頭に装着する。表裏ともに化学繊維で覆われているので肌触りは悪くない。ただし、それは今回のテストを冬の時期にできたからであって夏は分からない。日本のように高温多湿な地域では、通気性の高いメッシュ素材にした方が良いかもしれない。

 人体が発する微弱な電気信号をピックアップするため、本体の2カ所にセンサーを内蔵している。SmartSleepは丸洗いができないが、額センサーはバンドから取り外して中性洗剤で洗える。

本体から額センサーを取り外したところ。この状態で洗える。本体も洗いたいところだが、イヤフォンなどが壊れる恐れがあり、ウエットティッシュなどの使用が推奨されている

 もう一つのSmartSleepセンサーは、交換式で消耗品扱いだ。右耳の後ろから引き出されるコネクターに取り付け、ジェルで肌に固定するため、汗をかいたりすると粘着力が落ちてくる。取扱説明書には3回までの使用にとどめるべきと書かれていた。交換用のセンサーは30個入りで2980円(税別)。

交換式のSmartSleepセンサーは消耗品。1個で3日ほど使える
SmartSleepセンサーをコネクターに装着して耳の後ろにはり付ける。自分の目で見えない位置なので髪の毛が入らないよう装着するのが意外に難しい

 本体の左右側面のイヤフォンが耳の上に当たるように位置を微調整する。筆者は頭が大きめだが、後頭部のスライダーで締め付け具合を調節できるため、思ったほどの違和感はなかった。

 ただし、イヤフォン部分には少し厚みがあるため、寝ている間に耳へのアタリが気になることも。できれば枕は柔らかいものを使う方が良いだろう。またセンサーと肌の間に髪の毛が入り込まないようにして身に着けなければならないので、髪の長い女性は少し面倒かもしれない。

 SleepMapperアプリ(iOS/Android)は、本体の初期設定とデータの同期・解析を行うときにだけ使うため、寝ている間はスマホとのペアリングが外れていても問題ない。近くにスマホがなくてもいい。

 SmartSleepの本体電源ボタンを押し込むとビープ音が聞こえる。音が鳴っている間は本体とセンサーの接続が行われている。30秒ほど待ってランプが緑色に変わったことを確認すれば、後は寝るだけだ。

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