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» 2020年01月29日 09時06分 公開

IT基礎英語:アナ雪「レリゴー(Let It Go)」の本当の意味は?

使役動詞であるletの訳し方は難しいのです。

[鈴木聖子,ITmedia]

 ディズニーのアニメ映画「アナと雪の女王2」が大ヒット上映中だ。アナ雪といえば、1作目で大ヒットした主題歌の「Let It Go」。実はずっと気になっていたことがある。この意味は「ありのままで」のままでいいのか、という疑問だ(今回もIT用語と無関係ですみません)。

photo Let It Go

 学校で習った通り、「let」は「〜させる」という意味の使役動詞。ただし強制ではなく、相手の意思やその時の流れが尊重される。なのでlet it goは、直訳すれば「それを行かせる」、つまり、放っておいたら自分から離れて行ってしまうものを、追いかけたり押しとどめたりせず、そのまま出て行くに任せるという意味になる。

 似たような表現で「let it be」というフレーズもある。goに比べるとbeの方には動きがないので、こちらの方が「そのままで」の意味に近い。

photo Let It Be

 では「it」は何を指すのか。映画の中のエルサは、let it goと歌いながら、魔法をバンバン放っていた。英語の歌詞は、「Can't hold it back anymore(もう押しとどめておけない)」と続く。このitは両方とも、今まで無理やり自分の中に閉じ込めていた魔法の力のことらしい。

 そこで、このlet it goには「(魔法の力を)解き放とう」、そして自分も解き放とう、という意味が込められているのでは、と私は解釈している。もちろん、歌詞の翻訳は単純な直訳では通用しない世界だし、人によって受け止め方はさまざまなので、何が正解で何が間違いというワケでは全然ない。

 ほかにももう1つ、let it goのセリフが印象的な映画がある。「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」(1989年)。今更ネタバレでもないと思うので書いてしまうと(もしもこれから観るという方がいたら飛ばしてください)、

 聖杯の魔力に憑りつかれたインディに、ショーン・コネリー演じるお父さんが静かに声をかける。「Indiana, let it go」。この言葉には「聖杯はもう放っておけ」という意味と同時に、いろいろ確執のあった息子に対して、そんな確執にこだわるのはもうよそう、という気持ちが込められているらしい。

 要するに、let it goを構成する3つの単語は単純なだけに、それぞれがいくつもの意味を含んでいて、奥が深い。だから一言で表現するのは結構難しい。

 ニュースの翻訳でそれを実感したことがある。トランプ米大統領の側近だったマイケル・フリンさんという人が絡む疑惑について、トランプさんがFBIの捜査をやめさせようとしたという疑惑(真偽は不明)についての報道だった。トランプさんが当時のFBI長官に言ったとされる言葉は次の通り。

He is a good guy. I hope you can let this go

 日本のマスコミの翻訳がまちまちだったのは面白い。

「フリン氏はいいやつだ。この件は終わりにしてほしい」(NHK)

「フリン氏はいいヤツだ。この捜査はもう手放していい」(日経)

「この件はやり過ごしてほしい」(朝日新聞)

「諦めてほしい。彼はいいやつだ」(共同通信)

 というわけで、やはりlet it goの翻訳に正解はなさそう。さて皆さんだったら、どう訳しますか?

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