年配世代が若者に対して頭から見下した態度を取ったり的外れなヤジを飛ばしたりするのは、特定の国に限った現象ではないらしい。
そんな態度にうんざりした若者たちが、上から目線の相手に向かって、もういい、分かった、勝手にほざいてて、自分たちは気にせず前に進むから――という反撃というか冷笑を込めて、「OK boomer」という言葉が2019年末から流行した。
それが世界に注目されるきっかけになったのが、2019年の、ニュージーランドの25歳の女性議員の演説だった。
クロエ・スウォーブリック議員(25)は議会演説で、差し迫った地球温暖化対策の必要性を訴えていた。ところが演説の中で年齢の話が出ると、場内からヤジが飛ぶ。しかしスウォーブリック議員は、声が聞こえた方にちらりと目をやって、「OK boomer」と片手をちょっと上げただけで、平然と演説を続けた。
気の利いたヤジを飛ばした(つもりの)年配議員を、「はいはい、分かったから(大人しくしててね)」と軽くいなして見せたこの様子は、世代を問わずに共感を呼んだ。
OK boomerは今や、歌にもなってTikTokでboomerをからかう動画が飛び交い、Tシャツなどのグッズまで売り出される人気ぶり。米紙New York Timesはこの現象について、「世代間の友好的な関係の終わり」と位置付ける。
気候変動など未来にかかわる問題について、根本的な対策を先送りにしながら上から目線の発言を続けるboomer(Baby boomers)世代。そうした無責任な世代のせいで深刻な状況に追い込まれたと感じ、もうboomerが何を言おうと構わず行動を起こすmillennials世代やgeneration Z世代。
そこまで深刻でなくても、スマートフォン使い過ぎや服装、髪型、性別などに関するオジサンオバサンの小言を「OK boomer」の一言でスルーする動画がTikTokにはたくさん掲載されていて、単純に可笑しい。
世論調査機関Pew Research Centerの定義によると、boomersは1946〜1964年生まれ、millennialsは1981〜1996年生まれ、generation Zは1997以降生まれの世代。その間に1965〜1980年生まれのGeneration Xという世代もある。この定義はメディアによって1〜2年の差はあるが、欧米のニュースなどには頻繁に出てくる用語なので、覚えておくと何かと便利。
ただしOK boomer現象は年齢の問題ではなく、結局のところ、心の持ち方の問題だとNew York Timesは解説し、20歳の大学生のこんな言葉を紹介している。
You don’t like change, you don’t understand new things especially related to technology, you don’t understand equality,” he said. “Being a boomer is just having that attitude, it can apply to whoever is bitter toward change.
変化を好まない、新しいこと、特にテクノロジー関連のことを理解しない、平等を理解しない。boomerとはそうした姿勢を持つことであり、誰であろうと変化を苦々しく思う人に当てはまる
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