ITmedia NEWS > STUDIO >

安倍首相の「うちで踊ろう」動画、”事前確認なし”は問題か?(2/3 ページ)

» 2020年04月23日 07時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

 一般的に、著作物を用いた二次創作物を著作権者の許諾なしに公開する行為は、著作権法に抵触する可能性が高い。

 一方、著作権侵害というのは一部を除いて親告罪に当たるものだ。実際に著作権侵害が起きていても、被害者が告訴しなければ検察官などは公訴を起こせないこともある。

 今回の場合、オリジナル動画の権利者である星野さんは、安倍首相の動画を含め、他の二次創作動画についても問題視しているようには見えないため、当事者以外が目くじらを立てる必要もないだろう。「うちで踊ろう」については、そもそもコラボやカバーを推奨するといった書きぶりだった。

photo

 昨今は、アーティスト自身がオーディエンスに対し、ライブの模様を写真や動画でSNSに投稿して拡散を促すことも多い。

 ライブの写真や動画を投稿するのも、厳密にいえば著作権、著作隣接権、プロモーション権、肖像権など複数の権利を侵害している可能性大なのだが、今はソーシャルメディア全盛期だ。撮影禁止で締め付けるより、SNSでの拡散によるプロモーション効果を狙う場合もある。“容認された利用”を促す方が、結果的にはビジネス上の利益を得られる、との判断によるものではないのか。

 「うちで踊ろう」は、拡散されることで在宅意識の啓蒙(けいもう)を図るものだと考えられる。彼の意図した通りの結果にはなっているのではないか。もちろん、公序良俗に反するものは本人の意図するところではないだろうが……。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.