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» 2020年04月24日 07時00分 公開

沖縄「ゆいレール」はなぜSuicaに対応したのか 地方鉄道に広がる交通系ICの「片利用」(1/2 ページ)

沖縄県で唯一の鉄道路線「ゆいレール」が、JR東日本の交通系ICカード「Suica」の運用を始めた。しかし、Suicaと相互利用できるようにはならない「片利用」という形式だという。OKICAとSuicaはどのような関係になるのか。調べてみると、地方鉄道の生き残る道が見えてきた。

[石井徹,ITmedia]

 沖縄県で唯一の鉄道路線「ゆいレール」(沖縄都市モノレール線)が、JR東日本の交通系ICカード「Suica」の運用を3月10日に始めた。ゆいレールは独自のICカード「OKICA」を以前から提供しているが、関東私鉄の「PASMO」やJR西日本の「ICOCA」のようにSuicaと相互利用できるようにはならない。駅券売機ではSuicaの販売もないという。

3月からSuicaに対応した沖縄「ゆいレール」の改札

 OKICAとSuicaはどのような関係になるのか。調べてみると、地方鉄道の生き残る道が見えてきた。

Suica互換の「10カード」連合

ゆいレールは沖縄本島中部の那覇空港駅〜てだこ浦西駅間を結ぶ

 ゆいレールは、沖縄本島中部の那覇空港駅〜てだこ浦西駅間を結ぶモノレールだ。沖縄県唯一の鉄道事業者で、第三セクターの沖縄都市モノレールが運営している。QRコード形式のきっぷをいち早く取り入れたことでも知られるが、交通系ICカード「OKICA」も導入している。

 OKICAは地方独自の交通系ICカードだ。沖縄都市モノレールや琉球バスなどで使えるが、沖縄県以外の鉄道・バス事業者では使えない。

同じ「交通系ICカード」という分類でも、OKICAとSuicaでは対応する規格に違いがある

 SuicaはJR東日本が発行する交通系IC系カードで、通称「10カード」と呼ばれる全国相互利用に対応するICカードの一つだ。10カードにはJR北海道の「Kitaca」や、関東私鉄各社の「PASMO」、JR西日本の「ICOCA」などが名を連ね、相互利用できる範囲は全国で4000駅にのぼる。全国でも唯一無二の規模を誇る交通系ICカード連合といえる。

「10カード」の一部

 ゆいレールがSuicaに対応する意義はまさにここにある。Suicaに対応すれば、10カードが抱える全国の交通系ICユーザーに一斉対応できるというわけだ。また、Suicaには、「Welcome Suica」という海外観光客向けのバージョンもある。

 沖縄都市モノレールの広報はSuica導入の理由として、国内観光客とインバウンド観光客の利便性向上を挙げる。ゆいレールは特に観光客の割合が高く、年間1900万人のうちの約2割、およそ380万人が観光客と想定される。沖縄では特に東京近郊圏からの観光客も多いため、Suicaの導入支援をJR東日本に依頼したという。

相互ではなく「片利用」にした理由

 ゆいレールがSuicaを導入した形態は「片利用」と呼ばれるものだ。例えばSuicaとPASMOはどちらのカードでどちらの路線にも乗れる「相互利用」であるのに対して、ゆいレールではSuicaは使えるが、ゆいレールのOKICAでJR東日本の路線に乗ることはできない。

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