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Stay Home? ならば最大100時間は遊べる「ボードウォーゲーム」をリモートでやらないか(3/3 ページ)

» 2020年05月09日 07時00分 公開
[長浜和也ITmedia]
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リモートで「ボードウォーゲーム」やらない?

 VASSALはPCで動作するので見た目はデジタルゲームだが、PC用ゲームやスマートフォンゲームと違い、ゲームの進行や戦闘での処理を自動で行うような機能はなく、対戦相手になってくれる思考ルーチンも実装していない。つまり、アナログのボードウォーゲームをデジタルに置き換えてマップや駒を共有するリモート対戦ツールに徹している。だから、対戦するプレイヤーは自分たちでルールを把握し、ルール通りに駒を動かさないと対戦が成立しない。その代わり、観戦機能やダイスを振ってくれる機能などを用意している。

 VASSALはJava上で動作するアプリで、その役割はネットワークで接続したPCでリモート対戦するための土台に過ぎない。ボートウォーゲームそれぞれのデジタル化したマップや駒は、ボードウォーゲームの製品ごとに用意した「VASSAL用のモジュール」で提供される。VASSALでボードウォーゲームをリモート対戦したいならば、VASSAL本体をPCにインストールし、プレイしたいボードウォーゲームのVASSAL用モジュールを導入する必要がある。

 VASSALのアプリはWebサイト「VASSAL Team」からインストールできる。日本語の解説は「VASSAL Japan web site」にまとまっている。どちらも最終更新から日がたっているが、VASSALを使う上では問題ない。

VASSAL TeamのWebサイトからWindows版のVASSAL本体をインストールできる
インストールで1つだけ注意を。Javaを導入していないPCに最新のVASSALモジュールをインストールするとJavaをダウンロードするが、そのWebサイトのURLが古くてエラーを起こす。なので、VASSALインストール前に自分でJavaを導入しておく必要がある
日本語をサポートしているので安心
「コマンドマガジン」Webサイトで用意しているVASSALモジュール。コマンドマガジン付録をはじめとして59モジュールを提供している
「ゲームジャーナル」Webサイトで用意しているVASSALモジュール。こちらもゲームジャーナル付録を中心に40モジュールを提供している
コマンドマガジンのWebサイトから入手した「太平洋戦史」公式VASSALモジュールで通信対戦。VASSAL本体の「File」メニューから入手したVASSALモジュールを「Look for a game online」で開く
一方のプレイヤーがVASSAL本体の「Active Games」フォームの「New Game」ボックスに名前(自由に決められる)を入力し、ゲームをプレイするテーブルを用意する
もう一方のプレイヤーも同様にVASSALモジュールを開くと、「Active Games」フォームのリストに相手が用意したテーブルの名前があるので、そこをサブクリックして「Join room」を選ぶとテーブルに着席できる
Current Gameのリストにテーブルに着席しているプレイヤーの名前が表示されるので、相手の名前をサブクリックして「Synchronize」を選べばリモート対戦が可能になる
こちらは連合軍プレイヤーの画面
こちらは日本軍プレイヤーの画面。駒の配置や手札の枚数がシンクロしているが、それぞれのプレイヤー画面では自分の手札の内容しか確認できない

より簡単なリモート対戦の方法も

 ただ、VASSAL用モジュールを用意されていないボードウォーゲームはリモート対戦ができない。しかし、長い歴史と常に対戦相手を探すのに苦労してきた経験を持つボードウォーゲームには、遠く離れた相手とプレイする方法がいくつか発案されている。

 アナログ的な手法として代表的なのが「次の駒の動きを書いた手紙をやり取りしてプレイする」というもの。「メール対戦」や「PBEM」などと呼ばれ、ボードウォーゲームに限らずテーブルトークRPGなどでも活用されてきた。この方法では1つのゲームを1年近くかけてプレイすることもあったというが、現代ではメールやチャットアプリを使って短時間でプレイできる。

 この手法を進化させたのが、今急速にユーザーが増えているビデオ会議ツールを使ったものだ。お互いのマップを自身のWebカメラで映して、相手が動かした通りに自分のマップでも相手のコマを動かすことで対戦できる。VASSALモジュールを作る必要はなく、Webカメラやカメラを搭載したスマートフォンがあればいいので、環境構築も簡単だ。

コマンドマガジン元編集長でボードウォーゲームデザイナーとして世界でも高い評価を得ている中黒靖氏が実施した、スマートフォンカメラを用いたリモート対戦。工夫次第でVASSALモジュールがなくても遠く離れた相手とボードウォーゲームができるいい時代になった

 「時間が余って気が狂いそうだー!」というあなた、ボードウォーゲームでその時間を存分に溶かしてみてはいかがだろうか。たとえ対戦相手が見つからなくても、ルールブックを読むだけで結構な時間をつぶせる。ルールブックを読んでいると「このルールは何をシミュレートしているのだろう」と気になることが出てくるだろう。そうなると、題材となった戦いの歴史も調べたくなる。こうした探索の旅もボードウォーゲームの楽しみの一つだ。せっかくある長い時間をボードウォーゲームでぜいたくに過ごしていただきたい。

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