VASSALはPCで動作するので見た目はデジタルゲームだが、PC用ゲームやスマートフォンゲームと違い、ゲームの進行や戦闘での処理を自動で行うような機能はなく、対戦相手になってくれる思考ルーチンも実装していない。つまり、アナログのボードウォーゲームをデジタルに置き換えてマップや駒を共有するリモート対戦ツールに徹している。だから、対戦するプレイヤーは自分たちでルールを把握し、ルール通りに駒を動かさないと対戦が成立しない。その代わり、観戦機能やダイスを振ってくれる機能などを用意している。
VASSALはJava上で動作するアプリで、その役割はネットワークで接続したPCでリモート対戦するための土台に過ぎない。ボートウォーゲームそれぞれのデジタル化したマップや駒は、ボードウォーゲームの製品ごとに用意した「VASSAL用のモジュール」で提供される。VASSALでボードウォーゲームをリモート対戦したいならば、VASSAL本体をPCにインストールし、プレイしたいボードウォーゲームのVASSAL用モジュールを導入する必要がある。
VASSALのアプリはWebサイト「VASSAL Team」からインストールできる。日本語の解説は「VASSAL Japan web site」にまとまっている。どちらも最終更新から日がたっているが、VASSALを使う上では問題ない。
ただ、VASSAL用モジュールを用意されていないボードウォーゲームはリモート対戦ができない。しかし、長い歴史と常に対戦相手を探すのに苦労してきた経験を持つボードウォーゲームには、遠く離れた相手とプレイする方法がいくつか発案されている。
アナログ的な手法として代表的なのが「次の駒の動きを書いた手紙をやり取りしてプレイする」というもの。「メール対戦」や「PBEM」などと呼ばれ、ボードウォーゲームに限らずテーブルトークRPGなどでも活用されてきた。この方法では1つのゲームを1年近くかけてプレイすることもあったというが、現代ではメールやチャットアプリを使って短時間でプレイできる。
この手法を進化させたのが、今急速にユーザーが増えているビデオ会議ツールを使ったものだ。お互いのマップを自身のWebカメラで映して、相手が動かした通りに自分のマップでも相手のコマを動かすことで対戦できる。VASSALモジュールを作る必要はなく、Webカメラやカメラを搭載したスマートフォンがあればいいので、環境構築も簡単だ。
「時間が余って気が狂いそうだー!」というあなた、ボードウォーゲームでその時間を存分に溶かしてみてはいかがだろうか。たとえ対戦相手が見つからなくても、ルールブックを読むだけで結構な時間をつぶせる。ルールブックを読んでいると「このルールは何をシミュレートしているのだろう」と気になることが出てくるだろう。そうなると、題材となった戦いの歴史も調べたくなる。こうした探索の旅もボードウォーゲームの楽しみの一つだ。せっかくある長い時間をボードウォーゲームでぜいたくに過ごしていただきたい。
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