新型コロナウイルス流行の混乱に付け込もうとするサイバー攻撃が止まらない。今、標的にされているのは治療の最前線に立ち、ただでさえ窮状に追い込まれている医療機関。病院がランサムウェア(身代金要求型マルウェア)に感染する被害も確認されている。
Krebs on Securityによると、欧州最大の民間病院運営会社Fresenius Groupは、ランサムウェア攻撃に見舞われて社内のコンピュータが使えなくった。業務には影響が出ているものの、患者の診療は継続しているという。
同社は世界100カ国以上で病院などの医療サービスを展開し、腎不全治療や人工透析装置の大手プロバイダーでもある。新型コロナ感染症は、重症化すると腎不全を発症することがあり、人工透析装置の不足が深刻化している中での出来事だった。
FreseniusのITシステムに感染したのは「Snake」と呼ばれるランサムウェアだった。ある日突然、社内のコンピュータが使えなくなり、影響は世界中の業務に及んだ。
Snakeは感染するとITシステムを人質に取り、ビットコインなどのデジタル通貨で身代金を支払うよう要求する。Freseniusが今回、要求に応じたのかどうかは不明だが、Freseniusは過去にもマルウェアに感染して150万ドル(約1億6000万円)を支払ったことがあるという。
FreseniusのITシステムがランサムウェアに感染した経緯は分かっていない。ただ、英国と米国のセキュリティ機関は病院などの医療機関に対し、不正侵入を狙ったサイバー攻撃に警戒するよう呼び掛けていた。
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