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米司法長官、銃乱射事件解決に協力しなかったとAppleを批判

» 2020年05月19日 10時23分 公開
[ITmedia]

 米司法省は5月18日(現地時間)、昨年12月にフロリダ州ペンサコーラ海軍航空基地で発生した銃撃事件の、米連邦捜査局(FBI)による捜査の進捗を報告した。射殺された実行犯が所有していたiPhoneのロック解除を米Appleに要請したが拒否されたが、「Appleのお陰ではなく、FBIの素晴らしい仕事のお陰でロック解除に成功した」とウィリアム・バー司法長官は語った。

 barr 記者会見するウィリアム・バー司法長官

 この事件では、3人の米軍兵士が死亡し、8人が重傷を負った。実行犯のムハンマド・アルシャムラニはサウジアラビア軍訓練生。アルシャムラニのiPhoneをロック解除して調査したところ、テロ組織AQAP(アラビア半島のアルカイダ)と繋がりがあったことが分かったという。

 FBIは1月にAppleに支援を求めたが拒否されたため、4カ月かかってロック解除に成功したとしている。米9TO5Macによると、アルシャムラニのiPhoneはiPhone 5とiPhone 7で、サードパーティー製のツールを使えば簡単にロック解除できるものという。

 バー司法長官は記者会見で、(Appleが協力しなかったため)米国民の安全を守るためにFBIの膨大な時間と税金を費やしてしまったとし、「合法的な情報へのアクセスと公共の安全よりも金に重きを置くような大企業の手に国家安全保障を委ねておくわけにはいかない。これを解決するための法律を策定する時が来た」と語った。また、「Appleは中国とロシアの政府には協力し、同社のデータセンターを再配置することで政府による監視を可能にしていると広く報じられている」とも語った。

 昨年12月、AppleとFacebookのセキュリティ責任者を召喚した公聴会で共和党議員がバックドアの追加を法律で義務付ける用意があると語った。

 Appleは9TO5Macに送った声明文で、「われわれはこの事件を含む多数の事件の解決のために24時間体制でFBIと協力している。(中略)われわれに関する虚偽の申し立ては数百万人のユーザーとわれわれの国家安全を保護する暗号化を含むセキュリティ対策を弱める言い訳にすぎない」と反論した。「われわれは国家安全保障に対する責任を真摯に受け止めているからこそ、バックドアを信頼しない。バックドアを作れば、悪意ある攻撃者に対して脆弱になる」

 Appleは2015年12月に発生した銃撃事件でも殺害された容疑者のiPhoneのロック解除を拒否し、バックドアの設置も拒否した。


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