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東京を走る地下鉄のカラー、どうやって決めたの?非テツでも楽しめる、テツ好きが注目するチマタの話題

» 2020年06月05日 06時00分 公開
[佐倉瑞歩ITmedia]

 首都圏に住んでいる人であれば、東京を走る地下鉄が色分けされていることをご存じかと思います。例えば銀座線はオレンジ、丸の内線はレッド、半蔵門線はパープルとそれぞれシンボルとなる色(ラインカラー)があり、路線図などの見やすさに一役買っています。その原点は、走っていた車両の色でした。

連載:非テツでも楽しめる、テツ好きが注目するチマタの話題

ここでは鉄道に関するちょっとした豆知識をお伝えすることで、何となく知識が増えたなとか、みんなが知らないことが自慢できたりとか、まあそんなことを目指してお届けしていく、テツの与太話です(作倉瑞歩)


photo 東京を走る地下鉄の路線図(東京メトロWebサイトより)

1970年当時の車両の色がポイント

 東京の地下鉄でラインカラーが決定したのは1970年。このとき都内では銀座線、丸ノ内線、日比谷線、東西線、千代田線が営業していて、それぞれの路線を走っていた車両の色に基づき、オレンジ、レッド、シルバー、スカイ、グリーンとラインカラーを割り当てました。当時はまだなかった有楽町線、半蔵門線、南北線、副都心線は他の路線と重ならないようにゴールド、パープル、エメラルド、ブラウンが事前に割り当てられ、その色を車両に反映しました。

 東京の地下には東京メトロ(営団地下鉄)の路線だけでなく、東京都交通局が運営する浅草線、三田線、新宿線、大江戸線もあります(都営地下鉄)。こちらも1970年に当時の営団地下鉄と東京都交通局が話し合い、そのとき開通していた浅草線はローズ、三田線はブルーとしました。新宿線のリーフ、大江戸線のマゼンタはそれぞれ開業前に決めたものです。

 ところで東京の地下鉄には番号も振り分けられていることをご存じでしょうか。これは1970年代に都市交通のあり方を検討した「都市交通審議会」が運輸省(当時)に提出した答申で路線に番号を割り当てていたため。1972年3月1日に運輸大臣へ提出した「都市交通審議会答申第15号」では、以下のようにナンバリングしていました。

路線番号 該当路線
1号線 浅草線
2号線 日比谷線
3号線 銀座線
4号線 丸ノ内線
5号線 東西線
6号線 三田線
7号線 南北線
8号線 有楽町線
9号線 千代田線
10号線 新宿線
11号線 半蔵門線
12号線 大江戸線
13号線 副都心線

 50代半ばより上の方だと、浅草線は「都営1号線」、三田線は「都営6号線」と呼ばれていたのを覚えているかもしれません。これらは1978年7月1日から浅草線、三田線と名前が変わりました。その年の12月21日に開業した新宿線も「10号線」と呼ばれていました。

今後どんな路線ができるのか

 1972年4月、都市交通審議会はその機能を「運輸政策審議会」に継承し、役目を終えました。運輸政策審議会はその後、2001年1月に行われた中央省庁改編に伴い、国土交通省内に新設した交通政策審議会にその役割を委譲しました。

 交通政策審議会は2016年4月、「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」と題した「交通政策審議会答申第198号」を提出(PDFファイル)。2030年までのロードマップを示しました。これには、浅草線のバイパスとして羽田空港と成田空港を直結する「都心直結線」、りんかい線や山手線の東京駅、新宿駅方向を羽田空港と直結させる「羽田空港アクセス線」、東急東横線と京急空港線を結ぶ「新空港線」、つくばエクスプレス(常磐新線)の東京駅乗り入れ、有楽町線の豊洲駅と半蔵門線の住吉駅を結ぶ「東京8号線の延伸」などが盛り込まれています。中でも8号線延伸は、南北を結ぶ鉄道がない江東区の悲願ともいえる路線で、沿線に住んでいる筆者も注目しています。

photo 交通政策審議会答申第198号で提言された新設路線(青と黄緑のライン)

 交通政策審議会答申第198号には、このほかにもいろいろな路線の計画が書かれていますので、「こんなことを考えてるんだ」と知ることができ、興味深い資料です。実現性が薄すぎる計画も多々ありますが、横浜市営地下鉄のあざみ野−新百合ヶ丘間の延伸など、実際に計画が始まったものもあります。今後の都市計画にも絡んできますので、時間があったら読んでおくことをオススメします。

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