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ドイツで公開された「コロナ警告アプリ」、現地でどう受け入れられているか(2/3 ページ)

» 2020年06月17日 11時26分 公開
[Masataka KodukaITmedia]

Corona-Warn-Appインストールを巡るてんやわんや劇

 さて、実体験してみようと、アプリ公開初日に筆者も自らインストールを試みたのであるが、App StoreでCorona-Warn-Appを検索しても検索結果に表示されない。ドイツ政府のダウンロードリンクから開こうとすると、「App入手不可能」とのメッセージ。

photo 筆者のApple IDから見た不在のCorona-Warn-App。「この国(日本)では利用できません」のApp Store画面

 つまりCorona-Warn-Appは“Apple ID上、ドイツ国籍(もしかしたらEU圏も可なのかもしれないが)の人”だけが利用可能なようなのだ。筆者は7年半ドイツ・ベルリンに在住しているものの、日本にいたときのApple IDを利用し続けている。そのApple IDは日本のクレジットカードに紐づけられているので、国を変更するにはドイツのクレジットカードに変更する手続きが必要であるとともに、Apple Musicのサブスクリプションを解除しなければならない。10年以上かけて集めたミュージックコレクションを捨ててまで、Corona-Warn-Appをインストールできるか? いろいろバックアップを取ったり、なんやかんやすれば、捨てなくても済むようだが、そこまでCorona-Warn-Appのためだけに、するべきなのだろうか?

 SNSでつぶやいたら、日本・米国・ドイツを股にかけて活躍するギタリストから「僕は3カ国でApple IDを使い分けています」との解決策が届いた。しかしそれも、大変な手間である。自分もIT技術者の端くれ、「IDとは一元管理されるべきもの。個人情報データは極力原子性(atomicity)を保証され、1カ所で管理されるべきだ。この国際化社会のなかで、利用者に3つのID管理を押し付けている、ITシステム(今回はApple IDの管理システム)に問題があって、利用者が妥協すべきではなく、ITエンジニア側が苦労して解決すべき問題、ここではAppleおよび決済システムが改善すべき問題だ」と感じた。

 で、インストール体験者を探そうと、ドイツ人のミュージシャン仲間に聞いてみたら「私はセキュリティ面で不安があるのでインストールしたくない」と即座に断られる。次に、ドイツ人の大家さんに「インストールしてみて」とお願いしたところ、彼のiPhone 5にはCorona-Warn-Appは対応しておらず(iPhone 6以上が対象。この理由は後述)、比較的時間のかかる段階的なOSアップデート作業が必要となり、ほぼ作業続行不可能。「外国人と、古い機種のユーザーは、コロナ対策で置き去りってこと?」と大家が笑う。

 その後、ベルリン在住日本人ミュージシャン、流水彩子さんにお試しインストールを依頼できた。

photo Corona-Warn-Appの画面(画像提供:流水彩子さん)

 「(感染者が付近にいる)リスクは24時間後からしか表示されないようです。アプリ自体は思ったより、ものすごくシンプルで、他の機能の存在を見逃しているのかも、と心配になりました。あと、プライバシーポリシー説明が大量です」と彩子さん。

photo Corona-Warn-Appの画面。まだリスク測定ができないことを示している(画像提供:流水彩子さん)
photo Corona-Warn-Appにおける暗号化されたBluetooth ID(ランダムコード、Zufallscodes)に関する説明(画像提供:流水彩子さん)
photo 「ホットラインあるみたいです」と流水彩子さん

 「24時間経ったらステータスは更新されるみたいですが、データがまだ十分集まっていない、あるいは、このアプリを使用している人がそんなに多くない可能性があり、その場合どういう表示になるかは未知ですね」と彩子さん。そのほか、ミュージシャンとして、よく仕事をご一緒させていただいている優秀なサウンドエンジニア、ホルガー・シャーデ(Holger Schade)さんも画像を提供してくれた。

photo ドイツ語版Corona-Warn-Appの仕様説明画面。ホルガー・シャーデさん提供

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