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» 2020年06月25日 18時38分 公開

WWDC 2020:「AirPods Pro」に秋の“大型アプデ” 「空間オーディオ」で映画のサラウンド再生も

米Appleが年次開発者会議「WWDC 2020」で「AirPods Pro」に「空間オーディオ」(spatial audio)と呼ぶバーチャルサラウンド再生機能などいくつかの新機能を追加すると発表した。アップデートは今秋実施する。

[山本敦,ITmedia]

 米Appleは6月22日(現地時間)、年次開発者会議「WWDC 2020」で「AirPods Pro」に「空間オーディオ」(spatial audio)と呼ぶバーチャルサラウンド再生機能などいくつかの新機能を追加すると発表した。アップデートは今秋実施予定で、人気のAirPods Proがこれまで以上に注目を集めそうだ。

 空間オーディオは、左右の音声に指向性オーディオフィルターによる周波数調整を行い、前方・後方の左右、センターチャンネルと高さ方向の音声成分を含むサラウンド音場をAirPods Proで再現する。対応機器は、「iOS 14」もしくは「iPadOS 14」を搭載したiPhoneかiPad。5.1chや7.1chのサラウンドフォーマットやDolby Atmos対応のコンテンツを再生した時に有効になる。

「空間オーディオ」のバーチャルサラウンド再生イメージ。ヘッドトラッキングにも対応する

 またAirPods ProとiPhoneなどがそれぞれ内蔵している加速度センサーとジャイロセンサーの情報をリンクし、導き出した位置情報を使って音源を正しい位置に定位させるヘッドトラッキング機能にも対応する。顔を向けた方向の音が正面から聞こえるなど、VRコンテンツのような臨場感を加えられる。ただし、ヘッドトラッキング機能が働くのは、iPhoneなどの画面に映像を表示し、ユーザーがデバイスと正対しながら視聴する映画やドラマ、テレビ番組などに限られるようだ。

 Appleはデベロッパーに対し、ステレオ音源のコンテンツを空間オーディオにアップミックスするためのAPI、加速度センサーやジャイロセンサーを活用できるAPIなどを提供してコンテンツのすそ野を広げる考え。いずれは音楽コンテンツやゲーム、フィットネスアプリなども空間オーディオに対応する可能性がある。

 空間オーディオは全く新しい技術というわけではない。例えば「iPhone 11」シリーズは内蔵スピーカーを使った空間オーディオ再生に一足早く対応した。一方のiPadは2020年の最新「iPad Pro」でも対応していないが、AirPods Pro(とiPad OS)が空間オーディオ再生に対応すると状況は変わりそうだ。より幅広いAppleデバイスのユーザーに恩恵をもたらすという点で、AirPods Proが空間オーディオに対応する意味は大きい。

Appleデバイス間のスムーズな接続切り替えを実現する「自動スイッチング」

 Appleデバイス間でBluetoothイヤフォンなどをスムーズに切り替えて使える「自動スイッチング」も秋以降のアップデートで追加を予定している新機能だ。

 例えば「iPhoneで音楽を聞いた後、iPadで映画を見る」場合、現在はBluetoothのプルダウンメニューからヘッドフォンなどを選択し直さなければならない。しかし、アップデート後はオーディオを含むコンテンツを再生しているデバイスを認識し、自動的に接続が切り替わる。この場合、「FaceTime」を含む音声通話に応答したデバイスが最優先になる。

iPadで動画を視聴中、iPhoneに着信があると自動的に接続が切り替わる

 iPhoneなどプレーヤー機器の条件は、新しいiOS14やiPadOS 14、macOS(Big Sur)、watchOS 7の導入と、同じユーザーのiCloudアカウントに登録していること。イヤフォンやヘッドフォンなどの再生機器側は「Apple H1チップ」を搭載していることが条件になる。これにはAirPods Proの他、「Beats by Dr.Dre」ブランドのヘッドフォン、イヤフォンも含まれる。

 自動スイッチングは設定でオフにすることも可能になるようだ。ユーザーは切り替えたいデバイスをプルダウンメニューから選べるという。

ヘッドフォンの聞こえ方を調整できる

 この他にもAppleは複数の機能を追加する計画だ。例えば、iPhoneやiPadでAirPods Proを使用しているとき、AirPods Proのバッテリー残量が少なくなるとiPhoneの画面にアラートがポップアップする。

 また「オーディオ共有」のソース機器(プレーヤー)にApple TVが加わる。オーディオ共有は、AirPodsシリーズやBeats製品(Apple H1/W1チップを搭載したもの)が2台あるとき、1台のプレーヤー機器の音を同時に聞けるというもの。19年秋に登場したiOS 13、iPadOS 13、macOS Catalinaで実装したが、20年秋以降のtvOSアップデートにより、Apple TVもプレーヤー機器に仲間入りする。深夜の動画視聴などに使えそうだ。

 さらにもう一つ、iOSとiPadOSの「アクセシビリティ」機能の中に新しく「ヘッドフォン・アコモデーション(調整・適応などの意味)」と呼ばれる機能が加わる。ユーザーによって異なる「音の聞こえ方」を補正するというもので、ガイドに沿っていくつかのオーディオクリップを再生しながら設定することで、ユーザーに適したプロファイルを作成できる。Apple H1チップを搭載した第2世代AirPods、AirPods Pro、Beats製品に加え、有線イヤフォンの「EarPods with Lightning Connector」も対応する。

AirPods Pro

 全国の家電量販店やオンラインショップのPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、2019年の国内完全ワイヤレスイヤフォン市場は、メーカー別シェア(販売台数)でAppleが39.4%の「無双」状態だった。AirPods Proも10月末の発売ながらも製品別で4位に入る人気ぶり。今秋のアップデートでさらに注目を集めることになりそうだ。

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