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KDDI、テレワーク前提のIT環境整備を支援する新サービス 新型コロナでニーズ浮き彫りに

» 2020年07月17日 19時40分 公開
[谷井将人ITmedia]

 「テレワークを行う上での課題は、思った以上に基本的なことだ」──KDDIの藤井彰人本部長(サービス企画開発本部)は7月17日、withコロナ時代を見据えた新サービスの説明会でそう話した。

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 KDDIは同日、新型コロナウイルスの影響でテレワークの導入が企業の間で進んでいることを受け、会社の外に従業員がいる前提での情報セキュリティ対策や、社会情勢の変化に強いIT環境の整備を支援するサービスを始めると発表した。

 具体的な新サービスとして発表したのは、「ゼロトラスト」と呼ばれる概念を採用したセキュリティプラットフォーム「Zscaler Private Access」(ZPA)だ。ファイルへのアクセス制御やウイルス対策、情報漏えい防止などの機能を備え、VPNを使わずに社外から業務システムにアクセスできる。

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 ゼロトラストは「社内からのアクセスは安全で、社外からのアクセスは危険である」という前提で構築する既存のセキュリティ概念とは異なり、「全ての通信を信頼できないもの」として扱うのが特徴だ。

 KDDIはZPAを単体で提供するだけでなく、同様の法人向けサービスと組み合わせて提供する考え。同社が提供している業務用デバイスやセキュリティ、クラウドなどのサービスとともに、顧客のニーズに合わせたIT環境の総合的な提案につなげる。

 IT環境の一括提案を推し進める理由について、同社は「テレワークを始めた企業が思った以上に基本的なところでつまづいている」ということが挙げられるという。

コロナ禍でニーズがはっきり 「課題は思った以上に基本的なこと」

 新型コロナに伴う外出自粛などの影響で、これまでの社内での作業が前提だった状態から、急きょテレワークに移行した企業も多い。

 KDDIの調査によれば、「在宅勤務をするためのPCや固定回線がない」「取りあえずスタートしたが、セキュリティに不安がある」「急にVPN利用者が増えたため回線が逼迫されてしまう」など、セキュリティの他に、基本的な環境の部分に多くの課題が見つかったという。

 同社の丸田徹副本部長(サービス企画開発本部)によれば、ゼロトラストというセキュリティ上の概念を実現するには、デバイス、ネットワーク、認証技術、セキュリティ、アプリ、クラウド環境、オペレーションなど、さまざまな観点があるとして、今回のサービスを始めるに至ったという。

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 KDDIは企業のIT環境を「クローズド型」「リモート型」「フレキシブル型」「オープン型」に分類。ゼロトラストのセキュリティ環境を構築する上で、VPN接続に加え、イントラネットに接続しなくても使えるクラウドサービスなどを活用するフレキシブル型の提案を強化する方針だ。

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新オフィスで、KDDI自身も新しい働き方を実践

 KDDIは自らもwithコロナ時代の新たな働き方を実践する。8月に入居する東京都港区の新拠点では、ゼロトラストを踏まえたセキュリティ環境を構築。法人向け事業を担当する約2500人が勤務するが、座席数はこれまでの6割程度にとどめ、Web会議ツールやクラウドサービスを活用して業務を行うという。

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 藤井本部長は「社内で新たな働き方を実践して、得られた知見をビジネスに生かしていきたい」としている。

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