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データサイエンティストが「鬼滅の刃」を読むべき理由マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(2/3 ページ)

» 2020年07月21日 07時00分 公開

入隊した炭治郎=新人研修中のデータサイエンティスト

 こうして鬼殺隊の隊士となった炭治郎は、鬼を倒すために街に派遣されます。戦いでは鬼の特殊能力を分析しながら自分の技を組み合わせるなど、「なんという冷静で的確な判断力なんだ」とばかりに窮地を脱して鬼を倒しました。

 データサイエンティストの段階としては、企業に入社して新人研修を受けている段階です。

 それまでの授業や課題とは異なり、明確な目標値やわかりやすいデータセットがなく、正解が見えない中で答えを見つけなければいけません。モデル選択や判別根拠に戸惑いながらも、自分がこれまで学んだ知識や技術を駆使してコツを掴んでいく時期といえるでしょう。

仲間と出会った炭治郎=部署に配置されるデータサイエンティスト

 これまで炭治郎だけで鬼と戦ってきましたが、同じ鬼殺隊の仲間2人と出会い、より強い鬼と対峙することに。しかし仲間たちは見た目そのままな猪突猛進型と、臆病者で女好きというヘタレだったため、チームワークは皆無でした。

 炭治郎が仲間をうまく動かしながら、力を合わせて鬼と戦っていきますが、絶体絶命の危機に瀕します。そこを鬼殺隊で最も強いとされる“柱”に救われて、自分たちとの実力差を目の当たりにする描写も重要です。

 企業で働く立場としては、新人研修が終わって所属部署に配属される段階です。学校や研修では一人で行う作業が中心でしたが、ここからはチームワークを生かした働き方が求められます。

 自分の役割を認識して他のメンバーからのフォローを受けながら、業務を進めていきます。特に他者とのコミュニケーションが重要となり、わがままばかりは言えません。自力で解決できない問題を先輩に助けてもらう場面では、己の無力さを痛感するでしょう。実務を通して自分の足りない部分を把握するのは、個人の成長に欠かせません。

実力差を痛感する炭治郎=足りないスキルを学び直すデータサイエンティスト

 鬼との激しい戦闘をくぐり抜けた炭治郎たちは、休息を挟んで新たな訓練に取り組みます。圧倒的な強さを誇る“柱”との実力差を痛感して、アニメ2話分を使ってさらなる修行に励んでいきます。

 努力を重ねて地力を付けていくことで少しずつ柱に認められ、一人前の隊士となったところで「竈門炭治郎立志編」が終わり、次なる戦いに臨む展開でアニメ版は終了します。

 データサイエンティストとしては、大きなプロジェクトを終えて、足りないスキルや知識を身に着けるための段階です。

 書籍による学習や社内外の勉強会への参加など、改めて学び直す機会が重要になります。学校を卒業すると「もう勉強する必要はない」と思いがちですが、IT業界では永遠に勉強が続きます。

 特にデータ分析プロジェクトはノウハウが蓄積されにくく不確定要素も多いため、業務で経験を積みながら暗黙知を学ぶ必要もあります。自社の環境、分析するデータ、顧客の要望など、書籍や講義では分からない点は多々あります。個人の勉強と並行してチームメンバーとして経験を重ねつつ、どのようなキャリアを歩んでいくか本格的に考える時期といえるでしょう。

一人前になるまでのチャート

データサイエンティストが活躍するのは鬼殺隊で戦うくらい大変

 このように、一介の少年だった炭治郎が鬼殺隊に入って鬼と闘う少年漫画的な展開は、データサイエンティストを目指す学生や若手社会人にも重なります。鬼殺隊に入隊するのもデータサイエンティストになるのも大変ですし、「なってからが大変」という現実も見えてきます。

 データサイエンティストという職業が認知される中で、企業が求める専門性は高まっており、「理系大学を卒業しただけ」「データ分析が出来るだけ」では通じない時代がいずれ訪れるでしょう。

 人材確保においても、採用ではなく社内人材の育成にシフトするなど、変化も見られます。データサイエンティストという職業を「簡単になれる」「年収が高い」と安直に考えず、「鬼殺隊に入るぐらい大変」と認識を新たにするべきです。

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