セガのフォグゲーミング構想を世界で最初に報じた著者が、前後編で解説する、次世代ゲーミングプラットフォームの、現時点で分かっていることすべて。
「次世代Xboxをセガが日本でXbox Series Sとして発売する」……。そんな噂が流れ始めてドギモを抜かれたのは、ことの発端となった筆者自身であった。
時を戻そう(筆者は意外とお笑いの流行に敏感である)。
筆者は、本業たる記者業とは別に対企業のコンサルティング事業を行っており、そのクライアントの一社にセガがある。筆者の場合は執筆テーマが技術事象の解説や考察であることも多いため、関連業界の企業と技術動向について意見交換や将来性の検討を行うことが多く、セガともまさにそういったことを行う間柄となっている。各クライアントとどんな仕事をしているかは守秘義務の関係で明かすことはできないが、とある案件について話し合っている中で、この「フォグゲーミング構想」の話題が出た。
当然、この時は自分が記事として書くことができるとは思ってもいなかったのだが、「セガが考える次世代ゲーム技術の1つとして世の中の人に知ってもらおう」という流れとなり、筆者が週刊ファミ通で連載しているコラム「ゲームのムズカシイ話」でこのテーマを扱うことになった。
なぜ週刊ファミ通だったかというと、理由はシンプル。この連載は週刊連載でいつもネタの捻出が大変だったから。逆に言うと、採れたてのネタを効率よく吐き出すにはこの連載はとてもよい場でもあった。
まあ、セガ側としては、筆者を賑やかし役として任命してくれたわけなので「だったら…」ということで、当該記事が掲載される「週刊ファミ通 2020年6月18日号」の発売1週間前に、この「スクープ」を、筆者のYouTubeチャンネルで予告を行うこととした。とはいえ、当時やっていた「シャドウ・オブ・ザ・トゥームレイダー」のゲーム実況の中でさらりとしゃべっただけのものだった。
実際、このネタは「未公開」「筆者だけが獲得した情報」という意味でスクープだったと思う。セガの次世代技術研究開発部門が直々に筆者に対して提供したネタなので、広報部ですら把握していなかったのだから。
一方でセガ幹部陣はこの件を掌握しており、しかもこのネタは幹部直々に「にぎやかしOK」の護符を出していた。この辺り、なんともセガらしい茶目っ気ぶりである。いたずら心あふれるPR戦略ともいえる。まぁ、セガ広報部からすれば「寝耳に水」となるだろうが(笑)。
ただ、この予告が思わぬ方向で広がりを見せることになる。
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