クラウドサービスについて種類別の内訳をみると、SaaS(79.7%)、IaaS(39.8%)、PaaS(25.4%)の順に投資意欲が高かった。
投資したいSaaSは、上位から「ビデオ会議ツール」(34.0%)、「データ保管/共有ツール」(32.1%)、「仮想デスクトップ」(30.2%)、「ビジネスチャット」(24.5%)という順に。遠隔での意思疎通やファイル共有の課題を解消し、リモート環境での共同作業を実現するサービスに人気が集まった。
「ワークフロー/電子署名/電子サイン」(20.8%)を挙げる人もおり、“はんこ出社”をなくしたいというニーズがうかがえた。
投資したいIaaSは、「クラウドサーバ」(自社運用:31.1%、マネージドサービス:30.0%)に回答が集中。「クラウド型VPN」(12.2%)などを大きく上回った。
IaaSに期待する効果は、「社外からのシステム利用の効率化」(43.4%)、「リモートでのITインフラの保守・運用管理の効率化」(32.5%)、「リモートでの障害対応や仕様変更の効率化」(24.1%)、「運用コストの削減」「システムの可用性向上」(ともに22.9%)などの声が多かった。
リモートアクセスの増加に伴うITインフラへの負荷増大などを解消し、テレワークに適したIT環境を整備したいというニーズがあることが分かった。
3種のサービスの中で最も投資意欲が低かったPaaSだが、導入を望む人からは「開発担当者の負荷を軽減したい」(32.0%)、「リモートでのシステム開発を効率化したい」(30.7%)、「開発コストを削減したい」(29.3%)といった効果を期待する声があった
サービスの種類を問わず、クラウドサービスを導入するに当たって、回答者の勤務先が重視しているポイントは「コスト」が72.3%でトップ。以下「セキュリティ」(65.4%)、「安定性/可用性」(51.2%)、「使いやすさ(UI/UX)」(50.9%)、「障害の少なさ/耐障害性」(44.7%)、「ベンダーによるサポート体制」(20.9%)と続いた。
この結果をさらに分析し、「自社のIT導入に関与している人」の回答に絞って再集計した結果、「コスト」(79.6%)、「安定性/可用性」(57.0%)、「障害の少なさ/耐障害性」(48.5%)、「ベンダーによるサポート体制」(26.4%)などのポイントが上昇。リモートでの業務を円滑に進めるため、安定した運用や充実したサポートを得られるサービスへの需要がうかがえた。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、突然始まったテレワーク。緊急事態宣言が解除されてからも、その運用方法に悩む企業は多い。そうした中で、多様な業務に特化した機能を使えるSaaS、必要な時に必要な分だけリソースを使えるIaaS、リモートでのシステム開発を効率化するPaaSは、解決策として注目が集まっているようだ。
調査は6月8日〜22日に実施。ITmedia NEWSの誌面や公式SNSで回答者を募り、Webアンケート形式で意見を聞いた。有効回答数は833件。
新型コロナウイルス感染拡大に伴って、企業はテレワーク導入などの体制変更を強いられた。新しい働き方に適したIT環境を築く上で、大きな鍵を握るのがクラウドの活用だ。
サーバやストレージ、仮想デスクトップ、ビデオ会議、チャット――。インフラや業務アプリにクラウドを使うと、企業は必要に応じてリソースの拡大縮小を行える他、場所を問わない意思疎通を可能にし、柔軟な働き方を実現できる。
だが、クラウドも万能ではない。オンプレミスよりもセキュリティ管理が難しく、障害発生のリスクもある。
企業はどうすれば、課題を乗り越えてクラウドを使いこなし、働きやすいIT環境を実現できるのか。識者やユーザー企業への取材から答えを探る。
第1回:コロナ禍でテレワーク普及も、日本はクラウド後進国のまま? その裏にあるSI業界の病理
第2回:「リモートアクセスできない」――コロナ禍のテレワーク、ITインフラの課題が浮き彫りに 打開策は「クラウド」が首位
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