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人工大理石をタッチディスプレイにしてキッチンや洗面台を演出 京産大が新技術Innovative Tech

» 2020年08月12日 14時43分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 京都産業大学の研究チームによる「人工大理石透過型LEDディスプレイとそのタッチインタフェース化の試み」(PDFへのリンク)は、人工大理石の表面を直接触って操作できるタッチディスプレイにする技術だ。

photo 人工大理石の板を介してLEDマトリクスで画面描画するとともに赤外線LEDでタッチインタフェース化する

 キッチンや洗面台向け素材の一種である人工大理石(樹脂)は、光を透過、拡散する特性を持っている。新技術ではこの特性に着目し、テーブルトップの天板背面側の狭い隙間にパネルを設置することで、表面からは見えない埋め込み式ディスプレイとして機能させる。

photo 人工大理石の下にパネルを設置する

 パネルには、チップLEDで構成されたフルカラーLEDマトリクスを使用する。この状態でLEDを制御し発光させると、まるで人工大理石がプロジェクターで投影されているかのように表示される。

 人工大理石は可視光だけでなく赤外線も透過する特性があることから、赤外線LEDとフォトダイオードを天板背面側に設置することで、表面のタッチ検出や物体検出も可能になる。

photo 人工大理石の裏側に赤外線LEDとフォトダイオードを設置した時のタッチ検出の原理
photo 砲弾型の赤外線LEDとフォトダイオードを配置したパネルの試作
photo (左)タッチしていない時の様子 (右)指でタッチした時の様子(このデモでは画面は上からの投影)

 大理石のキッチンテーブルにレシピ情報やキッチンタイマーを表示し操作する、電話着信のアイコンを表示してタッチで電話に出る、大理石の浴槽や洗面台にモーショングラフィックスで鮮やかに演出する――などの応用例が考えられるだろう。今後は、LEDマトリクスのディスプレイに赤外線LEDとフォトダイオードを配置した統合型パネルを作成し、実際のキッチンや洗面台で試用していくという。

photo 人工大理石のキッチンや洗面台などで、様々なアプリケーション表示や操作に対応

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