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「バッグが開いてますよ」と教えてくれるスマートファスナー「Zippro」 指紋認証も装備Innovative Tech

» 2020年08月20日 14時57分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 米ダートマス大学、台湾大学、北京郵電大学、米カーネギーメロン大学、豪モナーシュ大学による研究チームは、インタラクティブな操作ができるスマートファスナー「Zippro」を開発した。ファスナーに指紋認証やセンサーが付くことで、意図せずにバッグが開いているのを知らせたり、トイレの回数から病気の兆候を検知したりできる。

photo Zipproは、バックパックや衣類などのファスナーに実装する

 日常的に使用するバックパックや衣類などのファスナー部分を、スマートフォンなどのコントローラーとして機能させる。

 プロトタイプは3Dプリントしたスライダーとプーラー、赤外線センサー、静電容量センサー、指紋センサー、センシングボード、バッテリーなどで構成。

photo プロトタイプは、スライダー(Slider)とプーラー(Puller)、各種センサーで構成

 プロトタイプは、(1)ファスナーの位置の検出、(2)スライドさせた時の動きの追跡、(3)プーラーへのタップやスワイプなどのタッチジェスチャー認識、(4)指紋認証による個人識別――の4つの機能を兼ね備える。

 スライダーの動きと移動距離は、赤外線センサーで動いた歯の数をカウント。プーラーの外向き側に配置した静電容量式センサーで、プーラーのタップとスワイプを感知する。プーラーの内側に配置した静電容量式タッチ指紋センサーを使って、ハンドグリップの検出とユーザーの識別を行う。

 プロトタイプの実証用アプリがいくつか紹介されている。バックパックに実装したアプリは、ファスナーが開けられると盗難防止のためスマートフォンに通知してくれる。指紋認証で持ち主でないと判断した場合のみ通知する。

photo 持ち主以外が開けようとすると、盗難防止のためスマートフォンに通知してくれる

 また、利用者が帰ろうとするときにファスナーが開いたままであれば、スマートフォンに通知する。

photo 帰り際にバックパックが開いているとスマートフォンに通知してくれる

 このファスナーは頻尿の検出にも使える。プロトタイプをジーンズのフロントファスナーに実装することで、開閉の回数をカウントし、1日を通してファスナーの使用をモニター(排尿頻度を算出)。異常があればスマートフォンに通知するなど、症状や体調変化の兆候に早い段階で気付ける。

photo ジャケットのポケットに実装すると、会議中にスマートフォンからかかってきた電話の呼び出し通知をプーラーをタッチすることでこっそりオフにできる

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