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NHK、ネット事業拡大を視野 事業費の上限撤廃案を発表 高市氏は民業圧迫を懸念

» 2020年09月17日 20時26分 公開
[ITmedia]

 NHKはこのほど、インターネットを活用した業務の種類や内容、費用などを定めた「NHKインターネット活用業務実施基準」の改定素案を発表し、ネット事業を拡大する方針を打ち出した。現行の基準では、ネット事業の費用を「受信料収入の2.5%以内」と定めているが、これを撤廃する可能性があるという。

 NHKは、ネット事業費の上限を撤廃した場合に(1)地方局が制作した番組のネット配信期間を7日間から14日間に延長する、(2)在外邦人向けの国際テレビ放送「NHKワールドJAPAN」のネット同時配信を始める――といった施策を行うという。

photo NHKの動画配信サービス「NHK+」

 NHKによると、2020年度の受信料収入は約7000億円になる見通し。この資金のうち、ネット事業には約170億円(受信料収入の約2.4%)を支出する見込み。素案では、この比率を今後3年間で2.9%程度まで拡大するとしている。

 だが、NHKがネット事業に力を入れると、同様の取り組みを行う民放事業者を圧迫する可能性がある。

 高市早苗総務大臣(当時)はこのリスクを考慮し、16日の記者会見で「インターネット活用業務にどれだけの費用がかかるのか、コスト削減も考えながら、実際に必要となる費用をまず考えてほしい」とNHKに提言。

 「今後、経営委員会において、放送法の関連規定や意見募集の結果も踏まえて、費用の上限を定めるなど適切に検討していただきたい」と見直しを求めた。

 NHKは改定素案に対し、国民からの意見を募集中。意見を取りまとめ、総務大臣への報告などを経て、21年度から23年度までの中期経営計画に反映する方針だ。

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